交通事故の判例ファイル13(心神喪失による事故)―その4

事業所の刑事責任が問われた判例

判例7 睡眠時無呼吸症候群の男に実刑、事業所は労基法違反

 名神高速道で2005年11月13日、ブラジル人7人が死亡した多重衝突事故で、業務上過失致死傷罪に問われた運転者(41)に対し、大津地裁は2007年1月26日、禁錮3年(求刑禁錮4年)の判決を言い渡しました(運転者側は控訴しましたが、大阪高裁2007.7.12も禁錮2年6月の実刑判決)。


 弁護側は「運転者は睡眠時無呼吸症候群(SAS)で、予兆がないまま睡眠状態に陥ったもので事故を回避できず、過失責任はない」と心神喪失による無罪を主張しましたが、裁判所は、「SASが影響した可能性は否定できない」としつつも、事故直前の6日間は休みがなく、車内で不規則な仮眠を取る生活が続いていたことを挙げ、意識を失った大きな原因は「極度の過労状態で運転したこと」として、過失を認定しました。


 なお、京都南労働基準監督署は2006年7月、事故を起こした運転者に違法な時間外勤務をさせていたとして、勤め先だった京都府宇治市の運送会社を労働基準法違反の疑いで書類送検しました。

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