弊社では、営業マンが頻繁に連絡をとる必要があるため、ハンズフリーの機器を支給して携帯電話で通話しています。都道府県によっては、ハンズフリーによる通話でも取締の対象となると聞いたのですが、条例を読んでも摘発されるのかどうかが曖昧でわかりません。また、ハンズフリーを使用していて事故を起こした場合に、過失が重くなることはあるのでしょうか?
道路交通法は、運転者が守らなければならない事の一つとして、携帯電話等で通話することを禁止しています(道路交通法71条5の5項)。
運転中の携帯電話等の通話については、反則金が課され、免許の点数が減点される対象となるほか、罰則もあります。
元々罰則が定められていたのは、携帯電話の通話により、交通の危険を生じさせた場合だけだったのですが、携帯電話で通話する運転者が未だに多かったため、通話自体も処罰することにされました。
携帯電話の通話等により交通の危険を生じさせた場合には3月以下の懲役又は5万円以下の罰金(同法119条1項9の3号)、通話だけでも5万円以下の罰金です(同法120条1項11号)。
このように、自動車の運転中の携帯電話の使用は規制されていますが、傷病者の救護又は公共の安全の維持のため緊急やむを得ずに行った場合は除かれます。
また、同法律の規制対象は、「携帯電話用装置、自動車電話用装置その他の無線通話装置」のうち、「その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないものに限る。」とされています。つまり、普通の携帯電話やスマートフォンは、手で持って操作して送受信するため同条に違反しますが、ハンズフリー機器を使用した場合には、同条には該当しないことになります。
しかし、ハンズフリー機器を使用しての通話であっても、無制限に許されるというわけではありません。道路交通法で規制がされていない部分も、都道府県の条例によって規制されていることがあるためです。
画面下の別表(2015年3月末現在の都道府県条例)のように、都道府県において、運転中のヘッドホンやイヤホンの使用を条例で禁止しているところが多くあります。
これらの規制は、細かい表現等が異なるものもありますが、概ね安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で運転することを禁じています。
高音での音楽を聴きながらの運転も条例に違反することになりますし、ハンズフリー機器を使用しての通話でも、安全な運転に必要な音等が聞こえないような状態であれば、違反となることになります。
なお、携帯電話を使用していたことにより交通事故が起きた場合は、上記のとおり、交通の危険を生じさせたことになるため、道路交通法上罰則があります。
しかし、ハンズフリー機器を使用しての通話中に交通事故が起きた場合、その一時をもってただちに過失が重く評価されるわけではありません。
通話による事故の場合、注意力が低下することによる前方不注視や制限速度違反などが直接の過失になることが多く、その原因を招来したのは運転中に通話をしていた運転者であるとみなされるという意味では、非難の程度は高いと考えるべきでしょう。