──軽井沢バス事故を受けて、緊急集中監督指導を実施
今年1月15日に長野県で発生したスキーツアーバス事故を踏まえ、厚生労働省は国土交通省と連携して、ツアーバスを運行する貸切バス事業場に対する緊急の集中監督指導を2月~3月にかけて実施しましたが、このほどその指導状況をまとめて公表しました。
全国で196の貸切バス事業場に実施したもので、地方運輸局との合同の監督・監査が半数を占めています。
その結果、バス運転者について労働基準関係法令違反が認められたのは166事業場(84.7%)で、主な違反事項は、「労働時間」(48.5%)、「健康診断」(19.9%)、「休日」(7.7%)などとなっています。
また、最大拘束時間をはじめとする改善基準告示違反も119事業場(60.7%)と6割に達しています。最も多いのは、1日最大16時間と定めている「最大拘束時間」(41.8%)で、「連続運転時間」(27.6%)、「総拘束時間」(21.9%)、「休息時間」(20.9%)などが続いています。
指導事例の1つでは、運転日報やタコグラフなどから、36協定で定める月71.5時間を超えて月約130時間の時間外労働を確認したため、労働時間(労基法32条)違反で是正指導を行った事業場を挙げています。
また、4週を平均して1週間当たりの拘束時間が約75時間であったことから改善基準告示の拘束時間違反でも指導しています。
別の指導事例では、デジタルタコグラフなどから、特定の運転者の1日拘束時間が約18時間であったため、改善基準告示の拘束時間違反で指導しています。
また、運転者の定期健康診断や深夜運転に従事する運転者に対する6ヶ月に1回の健康診断を実施していなかったことが発覚し、労働衛生法第66条違反でも指導しています。
※特定業務従事者としての深夜業従事とは=6ヶ月を平均して1月4回以上の深夜業務に従事した場合をさす。