◆糖尿病の意識障害で交通事故を起こした被告に禁錮3年の実刑
──横浜地裁2010年7月16日判決
56歳の男性会社員が乗用車を運転中、糖尿病による意識障害の予兆を感じながら、そのまま運転して意識障害に陥り、交差点で3人を死傷させた事故の裁判=自動車運転過失致死傷罪=で、横浜地裁は2010年7月16日、禁錮3年(求刑・禁錮5年)の実刑判決を言い渡しました。
裁判では、糖尿病の低血糖状態から起きた意識障害を被告が予測できたかどうかが争われましたが、被告(会社員・56歳)が身体の変調を感じた後に意識を失うまで、カーブした道路を約300m走行していることから、裁判官は「被告は体の変調から意識障害が予測された時点で、運転をやめることが可能だった」と指摘しました。また、量刑理由としては、2人が死亡し1人がけがを負った結果の重大さがもっとも考慮されました。
なお、この公判では被害者参加制度を利用し、被害者に関係する参加人が禁固6年を求めていましたが、裁判官は「検察や参加人の求刑はやや重すぎる」と述べました。
(2010年7月23日更新)
※被告は2008年6月8日午後6時40分ごろ、横浜市内で乗用車を運転中に事故を起こしました。
体の変調として、振戦(しんせん=冷や汗、動悸、ふるえ等)を自覚したものの運転を続けて意識障害に陥り、アクセルペダルを踏んだまま時速約65~75 キロに加速して県道交差点で乗用車と二輪車の計2台に衝突したほか、歩道上の自転車にもぶつかり、3人を死傷させたものです。