◆時速100キロの「あおり運転」に懲役9年
──危険運転致死傷罪を適用(宇都宮地裁 2007年9月18日判決)
時速100キロで猛追する「あおり運転」で軽乗用車に事故を起こさせ2人を死傷させた被告(24)への判決です。宇都宮地裁は、被告に危険運転致死傷罪による懲役9年(求刑懲役10年)の判決を言い渡しています。
被告は2007年1月21日、栃木県の国道で乗用車のクラクションを鳴らし、ライトを点滅させて軽乗用車を時速約100キロで追跡していました。軽乗用車のドライバーにハンドル操作を誤らせてガードレールに衝突させ、同乗の店員(当時18)を死亡させ、別の同乗者にも重傷を負わせました。
弁護側は「追い越すためであおり運転はなかった」として、危険運転致死傷罪について無罪を主張し東京高裁に控訴しましたが、2審も1審を支持し、懲役9年の実刑判決が下されました(東京高裁 2008年1月22日判決)。
高裁の裁判官は判決理由で「軽乗用車を運転していた女性は後方から急速に追いつかれて恐怖を感じ、加速したため事故を起こした。危険かつ悪質な行為」と、因果関係を認定しています。
◆400mに及ぶあおり運転の運転者に懲役4年
──追突事故起こさせ3人死傷(神戸地裁 2005年7月20日判決)
兵庫県伊丹市の国道171号で前を走行中の車をあおってトラックに追突させ3人を死傷させたとして、危険運転致死傷罪に問われた被告(38)への判決です。神戸地裁は求刑通り懲役4年を言い渡しています。
裁判官は「約2.5mの至近距離まで急接近し、時速60~70キロで約400mにわたって追跡、不安に駆られた被害者を前方不注意の状態に陥らせ、渋滞で低速走行していた前方のトラックに気付くのが遅れ追突させた。危険で悪質な行為」と指摘しています。
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