◆尼崎の3人死亡事故の加害者に懲役23年
(神戸地裁尼崎支部2007年12月19日判決)
兵庫県尼崎市で泥酔状態のまま車を運転、歩行者やタクシーに衝突するなどして3人を死亡させた男に対して、裁判所は、危険運転致死罪を適用し、交通事故では過去最長の懲役23年の判決を言い渡しました。
検察は800m離れて起きた2件の事故を併合加重し、有期刑の最長期=懲役30年を求刑しましたが、裁判官は量刑理由として「それぞれの事故が完全に独立した場合と同様の量刑とするには、合理性に疑いがある」と述べました。
◆福岡の3児死亡事故で懲役20年
(福岡高裁2009年5月15日判決)
2006年8月に福岡市東区で起きた飲酒運転3児死亡転落事故で危険運転致死傷罪などに問われ元市役所職員である被告の控訴審で、1審・福岡地裁の判決「懲役7年6月(業務上過失致死傷罪と道交法違反=わき見運転)」を破棄して、危険運転致死傷罪を適用し、懲役20年(求刑・懲役25年)の実刑判決を言い渡しました。
裁判官は「被告はわき見ではなく、飲酒の影響で前方注視が困難で正常な運転が難しかった」と指摘したものです。
◆埼玉・熊谷の8人死傷事故で懲役16年
(東京高裁2009年11月27日判決)
2008年2月、埼玉県熊谷市で飲酒後に県道を時速100キロ以上で運転し、対向車2台に衝突、2人が死亡6人が重軽傷を負った事故で、11月27日の高裁判決は、元トラック運転手の被告を懲役16年とした一審さいたま地裁判決を支持、検察・被告側双方が上告しなかったため刑が確定しました(検察側は一、二審で懲役20年を求刑)。
なお、事故をめぐって、酒を提供した飲食店経営者が道交法違反(酒類提供)罪に問われ、懲役2年(執行猶予5年)が確定しています(さいたま地裁2008年6月5日)。
さらに、さいたま地検は2009年8月、車に同乗した友人2人を道交法違反(飲酒運転同乗)ではなく、危険運転致死傷幇助(ほうじょ)罪で在宅起訴しました(現在、公判継続中)。