・総務省が国交省に改善勧告
総務省行政評価局が全国の貸切バス84業者を抽出して、2008年5月の運行状況を調査したところ、全体の52%に当たる44業者が法令に違反していたことがわかりました。このため、同省は平成22年9月10日、国土交通省に実態把握などを求めるとともに旅行業者への指導を勧告しました。
ドライバーの拘束時間や運転時間が基準を超過していたバス事業者は37業者、1日の拘束時間が法定の16時間を5時間40分上回る事例もあり、許可された営業区域外で運行する法令違反を犯した業者も7業者ありました。
また、旅行業者に値下げを求められたため、調査を受けた84業者のうち9割に当たる76業者が、国土交通省に届け出た運賃を契約先から受け取ることができず、違法な値引き運賃で取引きをしていました。
さらに、2009年3月に実施したバス事業者(4,304件)へのアンケート調査でも、約4割の事業者が、運送契約内容に関し契約先から安全性を度外視した無理な要求が「ある」と回答していました。
総務省は、バス事業者が無理な運行を強いられ安全運行に支障が生じ、多くの人命を危険にさらす恐れがあるとして、国交省や観光庁に対して、旅行業者が違法な値下げを求めるなどした場合の指導を徹底するよう勧告するとともに、悪質な事業者に対しては金銭的な制裁措置として課徴金の導入を検討するよう求めました。
2000年の道路運送法改正で貸切バスへの参入が免許制から許可制に緩和されて以降、事業者数は約10年間で1.8倍に増加している一方、1事業者当たりの保有車両数は67.7%に減少しています。小規模な貸切バス事業者が増加し、厳しい経営環境の中で、事業者が苦しんでいる姿が浮き彫りになっています。 詳しくは、総務省のホームページを参照してください。
【関連記事】