類似の判例10(裁判員裁判)

◆裁判員裁判初の危険運転致死判決

 ──懲役14年(千葉地裁2010年1月28日判決)

 

 2009年8月11日、焼酎926mlを飲み酩酊状態で軽トラックを運転、横断歩行者(95歳・女性)ら2人をはねて死亡させ危険運転致死罪に問われた被告(45)に対する、初の裁判員裁判の判決です(求刑は懲役15年)。


 弁護側は、自動車運転過失致死罪と道交法違反(酒気帯び運転)の適用を求め「懲役7年が相当」と主張しましたが、裁判長は「被害者に気づかなかったのは、大量に飲んだアルコールの影響」と危険運転致死罪を適用し、過去の飲酒運転事故の量刑などにも触れ、「量刑幅を重くすべき。2人が死亡した事故は懲役10~15年が相当」とし、懲役14年の実刑を言い渡しました。


 被害者参加制度に基づき、遺族の代理人も出廷し、「危険運転致死罪の最高刑の懲役20年を求める」と述べ、裁判員らに対しては「遺族の悲惨な思いを共有してほしい」と訴えました。

◆速度超過と飲酒運転

 ──懲役7年(新潟地裁2010年10月22日判決)

 

 新潟県長岡市内で2009年2月23日の夜、酒気帯び運転と大幅な超過速度により死亡事故を起こした被告(36歳)に対する裁判員裁判の判決です。危険運転致死と酒気帯び運転により懲役10年の求刑に対して懲役7年の判決が下りました。


 起訴状によると、長岡市の県道を酒気帯び状態で高速走行中(制限50km/hの区間を110~120km/hで走行)の乗用車が、カーブを曲がりきれずに対向車線へ逸脱し、対向してきた軽乗用車と正面衝突、運転していた19歳の男性が死亡しました。

 

 「被告が派遣型風俗店のホステスとの待ち合わせに遅れそうになり高速度を出したこと」や、「19歳のときにも死亡事故を起こし、その後も交通違反を繰り返すなど、交通ルールを遵守しようという意識に欠けていた」点なども指摘されています。


 判決では、「被告は事故直前に具体的な速度を認識していた」という検察側の主張は退け、「被告の反省状況などに対する検察官の評価がやや当を得ていない」として、懲役10年は重すぎると判断しています。

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