◆凍結事故は県の防止措置が不十分と認定
──鳥取県に281万円の賠償命令/岡山地裁
路面凍結によるスリップ事故を起こした運輸会社と岡山県のトラック共済が、事故は鳥取県の道路管理が不十分だったためだとして、県を相手取って提訴していた民事訴訟の判決公判で、岡山地裁は去る2010年10月19日、原告の運送事業者などに車の修理費など計281万円の損害賠償を支払うよう命じました。
現場近くは岡山県との県境近くの国道179号・人形峠トンネルの先で、岡山県側の道路は凍結していなかったのですが、現場付近では提訴した運輸会社以外の車両も次々とスリップ事故を起こしていました。
裁判所は判決理由として「道路はスリップ事故が生じやすく、県には危険防止措置をとる義務があった」と指摘し、「岡山県は凍結防止剤を3回散布し道路の実地確認もした」と認定し、鳥取側では凍結防止剤を前日に散布してから、道路状況の確認も行わずに放置していた」と裁定しました。
さらに、「天気予報では路面が凍結する恐れがあり、鳥取県は道路状況を確認し、追加の凍結防止剤を散布する必要性があった」と述べています。
スリップ事故の責任は「トラックドライバーの不適切な運転操作」によるという県側の主張に対しては、「異常・無謀、また自殺行為であるとまでは言えない」として、50%の過失相殺にとどめており、道路管理者の責任を認めた注目すべき判決となっています。
道路が凍結するシーズンを迎え、スリップ事故防止には運転者や管理者の十分な注意が必要なことはもちろんですが、道路管理者の役割も大きいことがクローズアップされました。
なお、事故は2007年1月に発生し、この事故を契機として現場の道路状況はすでに改善されたということです。
(2010年12月15日更新)