最近、アルコールチェッカーを導入している事業者が増えています。
自動車運送事業では4月1日からのチェッカーによる点呼時の酒気帯び検査の義務づけを踏まえてのことでしょう。
また、一般事業所でも、コンプライアンス面から飲酒運転根絶に向けた取組みとして、日常的にチェックする例が増えています。
こうした事業所でよく聞くのは、月曜日など休みあけに酒気残りで反応が出るケースが目立つということです。
しかし本人に聞くと、「前日の日曜の晩は飲む量を減らしたのに……」「10時までに切り上げたのに……」と意外な顔をすることが多いのです。
本人は自分なりに酒量を控えたつもりなのに、なぜ酒気残りが発生するのでしょうか?それは土曜日の飲酒量に理由があります。
人間の身体は一定量のアルコールしか分解できないので、もし、土曜日の夜遅くまで非常に多くの酒を飲んでいると、その何割かは、まだ日曜日に残っているのです。
こんな状態でさらに日曜日に飲酒すると、たとえ本人はいつもより量を控えたつもりでも、分解できなかったアルコールが月曜日の朝に残ることになります。
青ナンバーの場合は、たとえわずかでも酒気残りが発覚すれば、仕事ができないのですから重大な問題です。
こうした事態を防ぐためには、単に前日の何時までに飲酒を切り上げるといった指導をするのではなく、どのような飲酒をしたら、翌日以降運転できなくなるのか、自分の飲酒習慣のなかで気づいてもらうことが大切です。
平日はアルコールを我慢して、土曜日には「自分へのご褒美」として沢山飲みたいというドライバーもいます。その気持ちはわかるので、「だったら日曜日にも飲んだら運転はできない」ということを自覚させましょう。
そのために、休み前にアルコールチェッカーを持ち帰らせて、日曜日の朝に前日の土曜に飲んだアルコール残量をチェックし、自分の飲酒可能量を気づかせるよう指導している事業所もあります。
前の晩に飲んだ量と切り上げた時間を記録して翌朝チェックすれば、およその適量を知ることができます。体調や飲んだ環境によっても変わりますから、それを繰り返すことで自分の飲酒可能量を自覚させることができます。
酒量を正確に自覚して初めて自分でコントロールできるようになるのです。「少し控えたから大丈夫だろう」という根拠のないカンには頼らないことです。