この度の東北地方太平洋沖地震・津波では、多くの地域で被災された方がおられたと思いますが、こうした緊急事態が発生して、初めて気がつくことがあります。それは、緊急連絡網が一応整備してあったはずなのに、機能しないといった問題です。
よく聞くのは、緊急連絡用のカードなどがどこにあるか、一部の担当者を除いてわからないといったケースです。
緊急時に必要なものですから、誰もが目に付く場所に張り出しておかなければならないはずなのに、本棚の中に整理され担当者が出勤しないと見つからないということもあります。また、車に搭載されていることをドライバーが知らなかったという例もあります。
「皆、知っているはず……」ではなく、管理者以外はこうした問題を皆が気にかけていないという前提に立ち、常に連絡網の存在を意識するよう働きかけておくとともに、緊急時にすぐわかるようヘルメットの中にも入れておくとか、社員手帳に貼り付けておく、救急箱と一緒にしておくなど、工夫しておきましょう。
また、緊急連絡用の用紙が事務所の壁に張ってあったり、車両に搭載されていても、連絡先の担当者名や携帯電話番号が何年か前のままということがよくあります。情報が古いために緊急連絡がつかないようでは、何のための連絡網かわかりません。
こうした事態を防ぐためには、名前や電話番号などを定期的に点検することが必要です。とくに春など異動の多い時期には、必ず見直して、担当者の氏名や連絡番号をチェックしておきましょう。
緊急時には電話が繋がりにくいので、最近は電子メールによる連絡網も増えていますが、メールアドレスの更新も重要です。
また、順番に連絡するためトップに情報が伝わるのに時間がかかりすぎるような連絡網も、災害時には役に立たないので、この機会に見直しておきましょう。
ある運送会社のベテラン配車担当者は、毎日、通常の運行予定を組む場合でも、常に予定が狂った場合を想定して考えておく習慣があると言います。
一応、配車の予定が組み上がっても、すべての予定が何らかの理由でダメになったとき、どうするかということを頭のなかでシュミュレーションして、「どこそこに相談して、だめならこの車をこっちに回して」等と、すべてを組み替えることができないか、代替手段を検討しておくというのです。
うまく予定が組めた場合、普通はそこで満足してしまうものですが、この管理者は違います。過去に何度も予定外の事態にあった経験があるので、常に最悪の事態を想定して、なるべく早く改善できるように連絡網を再チェックしているのです。
実際には、予定通りに運行できる場合が多いものの、こうした危機管理意識は事故や納品トラブルのときに役立つだけでなく、他の担当者が困っているときにアドバイスをして助けることもできるので信頼関係が深まります。結果として、緊急時に助力を得ることも可能になります。
毎日の点呼は運送事業者の義務ですが、いざ、ドライバーと向き合ったときに何を話せばいいのか、戸惑う管理者も少なくありません。
本DVDは、トラック運送事業の安全運行のために欠かせない「点呼」のポイントを管理者とドライバーのやり取りによって具体的に紹介していますので、毎日の点呼のご参考にしていただくことができます。
乗務前点呼はもちろん、乗務後点呼や中間点呼について点呼者が忘れてはならないチェックポイントを理解することができます。