新たに現場に配属された社員が営業車両などを使用して業務につく季節です。安全運転指導だけでなく、車上荒らしや車両盗難に備えた指導は万全でしょうか?以下の点を確認しておきましょう。
自動車盗難や車上荒らしは路上駐車で起こる例が多いだろうと考えがちですが、実際には屋外の有料駐車場が36%ともっとも多発しているのをご存知ですか。また、自宅駐車場で車内の荷物や車自体が盗まれる例も32%近くあります(日本損害保険協会調べ)。
業務中に休憩で車を止めたり、自宅に持ち帰ってコインパーキング等に止めた車の中から、車内に置いたカバンやパソコン・USB等記録媒体・携帯電話・デジタルカメラなどを盗難される事件が多発しているのです。
こうした盗難により、単なる金銭的な損害だけでなく、企業の商品情報や業務上知り得た顧客の個人情報、製品の写真などが流出し、不正使用される危険があります。
駐車場に止めたからといって安心するのは禁物ということです。
そこで、営業車のドライバーなどを中心に、以下のルールを設けて厳しく指導しておきましょう。
①たとえわずかな時間でも車から離れるときには、キーを抜きドアをロックする
②車内に荷物や衣類、携帯電話等を残しておかない
③見通しがよく、夜間でも明るい駐車場に停める
④路上駐車はしない
⑤バンパー裏などにスペアキーを隠さない
⑥取り外しのできるタイプのカーナビ等も持って出る
車両が盗難されたり車上荒らしにあうことによって起こる事態への企業の責任や損害の大きさについても教育しておくことが重要です。
◎盗まれたパソコン・携帯電話からの情報流出は社会的な信用を失うだけでなく、場合によっては取引先等から損害賠償を請求されたり、取引を停止されたりする恐れもあります。
◎有料駐車場等の使用条項には、「駐車場内での車両や積載物の盗難には責任を負わない」と免責規定が明記されている場合が多く、盗難による損害賠償責任を駐車場に請求するのは難しいのが実状です。
◎車両自体を盗まれ、車泥棒が運転中に事故を起こした場合、その事故の責任を追求されるケースもあります。車にキーをつけたまま施錠もしないで自動販売機 で飲料水などを購入していたような場合は、車両の管理上の過失があったとして、車の保有者が民法709条の「不法行為に対する損害賠償責任」を問われる可 能性があるからです。