今年は、4月に統一地方選挙が行なわれたことに伴い、春の全国交通安全運動が1か月遅れて5月11日(水)から20日(金)まで実施されることになりました(運動の概要については、こちらを参照)。
交通安全運動のスローガン・重点項目などをポスターで貼り出したり、パンフレットにして配布する事業所は多いでしょうが、ポスターの掲示だけでは、運動が行なわれていることにすら気づかないドライバーも多いものです。
朝礼などの機会に、「高齢者の事故が全体の5割と多発していますので、子どもと高齢者の事故防止が大きなテーマになっています」などと説明し、この運動が何を重点的に取り組んでいるのか十分に知ってもらうことがまず基本になるでしょう。
そして、単に重点を知っているというレベルから一歩すすめて、ドライバー一人ひとりが自分の運転と結びつけて考えるように促すことが重要です。
ある事業所では、交通安全運動の前に、職場のグループ単位で運動にそったミーティングを開いています。
ミーティングでは、重点事項と照らし合わせた「日頃の自分自身の安全運転上の課題、問題点」を各自に考えさせて、それを解決するための運転目標を立てさせます。さらに、ドライバー一人ひとりが、自分の安全運転目標を記入した 『安全運転宣言カード』を作成し、運動期間中は毎日、カードに実践度合いをチェックするようにして実践化を図っています。
カードに記入する目標は、「高齢者の事故防止」といった漠然とした目標ではなく、自分自身の行動目標として考えさせています。
たとえば、
「夕方の帰庫時には焦る心理にとらわれないで横断する高齢者に配慮しよう」とか、
「◯◎病院の前では、バス停の高齢者に注意しよう」
「自転車の危険な行動にもカッとしないで、先に行かせる心の余裕をもつ」
「酒気帯び運転は残酒から。 前夜の飲酒は10時までに終える!」
といった具体的な決意表明をすることで、安全運転目標もはっきりしてきます。
◆重点推進項目
・アルコール検知の実施
──事業用自動車では、平成23年5月1日(※)から検知器による点呼時酒気帯びチェックと中間点呼を含めた検知結果の記録が義務づけられる(※当初4月1日からの予定が地震の影響で延期)。
営業所における乗務前・乗務後の点呼だけでなく、出先での電話点呼でも検知器使用が求められる。また、検知記録も必須なので、点呼簿に「アルコール検知器の使用の有無欄」を設けて実施する。なお、Gマーク認定を取得したトラック運送事業所では、今年4月から携帯型端末による点呼とアルコールチェックが車庫でも実施できるようになった。
・社有車の整理整頓の徹底
──現場配属された新入社員への指導などの機会に社有車の清掃と整理・整頓に関する指導と点検を行う。営業所や支店などの社有車の清掃調査などを実施するなかで、不要な道具類などが搭載されていないかをチェックするとともに、小さなこすり傷や損傷などがないかも調べておく。
車両が汚れていたり物損事故隠しなどが蔓延している事業所は、いずれ人身事故が起こりやすい。
・ドライバーの健康指導
──定期健康診断等の実施に基づき、ドライバーの健康相談・個別指導等に取り組む。とくに高血圧、糖尿病、高脂血症、SAS(睡眠時無呼吸症候群)、メタボリック症候群などに関する指導は重要。
運転中の発作や薬の副作用による居眠運転を防止するため、産業医を招いた面談なども企画する。また、5月でも日射の強い日には熱中症の危険があるので、ドライバーの日中作業時の着帽・水分補給やミネラル摂取などに配慮する。
・通勤時の交通安全指導
──4月に受け付けた通勤形態の実状を職場ごとに整理し、職場の管理者にフィードバックしてそれぞれの通勤態様に応じた安全指導が必要であることを理解してもらう。
たとえば、四輪・二輪車通勤の場合は通勤マップに沿った危険箇所、事故多発交差点の再確認など。また自転車通勤者が増加傾向にあるので、歩道走行のマナー、交差点での一時停止と安全確認など自転車の安全指導を行うことも重要。
◆5月の管理ごよみ(2011年/平成23年)
1日(日)~
31日(火) |
・消費者月間 ──消費者庁では毎年5月を「消費者月間」として消費者、事業者、行政が一体となって消費者問題に関する啓発・教育等の各種事業を集中的に行う。 なお、消費者安全法に基づく報告義務のある重大事故としては、乗合バスやタクシーの乗客被害、自動車の火災なども含まれ、消費者庁ホームページで公表されている。 |
1日(日) |
・メーデー |
3日(火) |
・憲法記念日 |
4日(水) | ・みどりの日 |
5日(木) |
・こどもの日 |
6日(金) |
・立夏 ──24節気の一つ。夏の気配が感じられるころ。 |
9日(月)~
20日(金) |
・事故防止対策支援事業「運行管理の高度化」に関する補助金交付申請期間 ──窓口は地方運輸局・自動車技術安全部 |
10日(火) |
・5月の製品安全点検日 ──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っている。 |
11日(水) |
・東北6県被災地車両についての「車検有効期間」再延長期限(地震発生の3月11日から5月10日までに車検有効期限が到来する車両について)──詳しくは国土交通省のWEBサイトを参照 |
11日(水)~
20日(金) |
・春の全国交通安全運動 |
18日(水)~
20日(金) |
・自動車技術会 2011年春季大会/人とくるまのテクノロジー展 ──於:パシフィコ横浜(横浜市西区みなとみらい) ※原則開催の予定だが、詳しくは同会のWEBサイトを確認 |
20日(金) | ・交通事故死ゼロを目指す日 |
23日(月) |
・事故防止対策支援事業「社内安全教育の実施」に関する補助金交付申請期間(~平成23年7月1日) ──窓口は地方運輸局・自動車技術安全部 |
31日(火) |
・世界禁煙デー ── 禁煙週間(~6月6日) |
5月中旬 | ・平成23年4月末における交通事故発生状況の発表(警察庁) |
5月下旬 |
・平成23年春の全国交通安全運動期間中の交通事故発生状況(警察庁) ・自動車保険データにみる交通事故の実態報告書2009~2010(日本損害保険協会) |
5月末日 |
・自動車税の納付期限 ──東北地方太平洋沖地震による被災者に対しては、自動車の滅失・き損による課税除外、減免、納期限延長等の措置があります(各自治体で制定) |
◆5月の日没時間(国立天文台天文情報センターによる)
1日(日) | 福岡 19:01 | 大阪 18:42 | 東京 18:27 |
15日(日) | 福岡 19:12 | 大阪 18:54 | 東京 18:39 |
31日(火) | 福岡 19:22 | 大阪 19:05 | 東京 18:50 |