■特集 心神喪失による事故を防ごう―その1

1・相次ぐ「意識喪失」による重大事故

 最近、運転中の「てんかん」発作等による意識喪失事故が相次いで発生しています。


◎広島県福山市藤江町の県道における事故

 2011年5月10日(火)の朝、集団登校していた小学生児童の列に車が突っ込み、4人が重軽傷を負いました。自動車運転過失傷害容疑で逮捕されたアルバイト警備員(38)には、「てんかん」発作の既往があり、数年前、運転中に発作を起こし搬送されたこともありました。


◎栃木県鹿沼市の国道における事故

 4月18日(月)の朝7時40分ごろ、歩道を歩いていた小学校の登校児童の列にクレーン車が突っ込み、児童6人が死亡しました。事故を起こした運転者は「てんかん」の持病があり、自動車運転過失致死罪で起訴されました。


◎三重県四日市市の踏切における事故

 2010年12月30日に、「てんかん」による意識障害発作を起こした歯科医師が自転車を押し出して3人が死傷する事故が発生しました。4月20日に行われた初公判で、加害者は「運転中に意識を失うことは予見できなかった」と無罪を主張しています。

 これら事故の責任についてどのような判断が下されるか注目されていますが、事業所でも、健康診断の結果を調査して運転者の健康管理をすることはもちろん、普段の健康観察や面談の機会に持病がないかをヒアリングして、積極的な指導を行う必要があります。

■「てんかん」や「くも膜下出血」等の既往があることが明らかな場合

健康上の問題と運転

 事業所の運転者に「てんかん」などの既往があり、その事実を企業がつかんでいた場合、事故発生時に大きな責任が生じます。「てんかん」に限らず、脳出血発作や糖尿病による低血糖症状で、運転中に意識を喪失することもあります。


 自動車運送事業を営んでいる場合は、「自動車事故報告規則第二条」に基づき健康起因事故を運輸局へ報告する義務が生じます。運輸局などの監査を経て、健康管理や日常の指導に問題があったとされた場合、事故の責任以外にも指導監督義務違反を含めた行政処分を受ける可能性があります。


 また、一般事業所であっても(運送事業のように運転業務を命じる業態ではない場合でも)、心神喪失事故が発生した場合「何も予見できなかった」とは言えず、社会的な責任の追及が高まると考えられます。従業員自身が死傷した場合、安全配慮義務違反などに問われる可能性もあります。

 

 てんかんや脳出血発作、低血糖症状などの心配がある従業員の運転業務に注意をはらい、社内免許証制度などで管理して一定の業務運転の担当から外すべきでないか検討するとともに、以下の点に留意しましょう。


◯薬の服用と運転について主治医とよく相談してもらい、その内容を会社に報告させる
◯現場の管理職が、運転者のもつ疾病についてよく理解しておく
◯運転者が自発的に健康面のチェックができるような資料を配布しておく

(※参考 健康管理マニュアル)

◯運転中少しでも発作の危険が感じたら、速やかに停止して様子を見るように指導を徹底する

(2011年5月19日更新)

 もし、万が一運転者の意識が喪失して交通事故に至った場合、どのような企業責任が発生するか、判例を参考にして考えてみましょう。  
                                           【続きを読む】

■教育用冊子「健康管理と安全運転」

 近年、運転中の病気の発作や、急激な体調変化による交通事故が多発しています。本冊子は、健康管理を徹底していなかったために発生したと思われる、重大事故等の6つの事例をマンガで紹介しています。

 

 各事例の右ページでは、垰田和史滋賀医科大学准教授(医学博士)の監修のもと、日々気をつけなければならない健康管理のポイントをわかりやすく解説しています。

 

 また、最終ページには自分が健康リスクを抱えていないかを確認できるチェックリストを掲載しています。安全運転のために、健康管理の重要性を自覚することのできる小冊子です。

特集 事故ゼロ 交通安全 事故防止 安全運転管理 運行管理 教育資料 ドライバー教育 運転管理
今日の安全スローガン
今日の朝礼話題

12月23日(月)

サイト内検索
運行管理者 安全運転管理者 出版物 教材

──新商品を中心に紹介しています



──ハラスメント、ビジネスマナー教育用DVDを好評発売中です

運行管理者 指導監督 12項目 トラック 貨物運送事業所
交通安全 事故防止に役立つリンク集
安全運転管理.COM 交通安全 事故防止 安全運転管理 運行管理 教育資料 ドライバー教育 運転管理

当WEBサイトのコンテンツの利用、転載、引用については「当サイトのご利用について」をご覧ください。

弊社WEBサイト、出版物においては「普通自転車」を「自転車」と表記しております。

詳しくはこちらをご参照ください。