最近は、局地的な大雨、いわゆるゲリラ豪雨などの災害が多く、自動車の水没事故も発生しています。梅雨の時期は集中豪雨も多くなりますので注意を促しましょう。
高架の下など車道部がアンダーパス構造※となっている場所(鉄道高架下など周囲より急に低くなっている道路)で、車が脱出できなくなり、乗員が死亡するケースが毎年発生していますが、つい先日(5月29日)も、台風2号の影響により大雨警報が発令された愛媛県西条市で、JR高架下を通過しようとした軽トラックが水没し、運転者が亡くなっています。
※「アンダーパス」とは、主要幹線道路や鉄道などと立体的に交差する道路で前後に比べて道路の高さが局部的に急低下(掘込部)している箇所を指します。
耳慣れない言葉かも知れませんが、行政の発行するマップにはよく使われる用語なので周知しておきましょう。
2008年頃から水没事故が続発し、各地方自治体では冠水想定箇所の情報をハザードマップなどにして警戒を呼びかけていますが、同種の事故が繰り返されます。
また、観光の車や遠方の車に限らず、地元の車による事故も発生しています。
同種の災害が繰り返されることには、以下のような要因があると考えられます。これらの問題点を踏まえて、事故防止対策を検討しておきましょう。
・慣れからくる油断──通勤や納品などで日常的に使用し走り慣れている道路だと「まさか短い距離だから大丈夫だろう」といった油断が生じ、安易にアンダーパス部分に入りやすい
・溝などを見落とす──実際の冠水路は入るまで水深がよくわからない。比較的浅い10㎝程度の冠水路が急に深くなって動けなくなったり、道路端の溝にはまったりして脱出できなくなることもある
・「他車が行くから」と追従して水没──SUVなど車両構造によってエンジン位置が高く通過できる車があるが、安易に追従すると車高の低い車はエンジンに浸水して脱出できなくなることがある
・迂回路を検討していない──道路冠水に注意するように言われても、その道路以外の緊急迂回路が具体的に考えられていないので、いざとなって経路変更ができない
・迂回路情報が周知されていない──緊急迂回路を設定していても、その情報が周知されていないか、豪雨時にタイミングよく再周知されないので誰も選択できない
・脱出時期を逸する──万が一、水没しかけても早期に脱出すれば人命は助かるケースもあるが、脱出時期を逃して死亡事故に至っている
事業所では、自治体などのホームページを介して「ゲリラ豪雨時など道路冠水の危険がある箇所」を調べ、情報を従業員全体で共有するととともに、大雨時の安全な通行方法を具体的な迂回路を含めて指導しておきましょう。
冠水事故に関する指導用リーフレット(無料)を作成しましたので、掲示するなどしてご活用ください。
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また、JAFのWEBサイトには、水没実験の映像があり、どの程度の冠水で車のドアが開かなくなるかなど具体的に見ることができます。このような映像を見せて危機意識を持ってもらうことも大切です。
─忘れない!東日本大震災が教えてくれたこと
教育用ビデオ「災害時、ドライバーはどう生き残るか」は、東日本大震災で被災したドライバーの証言や専門家の分析、実験映像などを交えた内容となっています。
地震、水没、大規模火災などの災害時・緊急時にドライバーはどういった事態に遭遇し、どう行動すれば危険を回避できるのか、わかりやすく解説しています。
(制作 斉藤プロダクション)