全国安全週間が実施されます。7月1日の「安全の日」に全社安全大会を実施したり、この機会に協力企業を巻き込んだ安全指導を行う事業所も多くみられますが、「安全」の意識を継続するためには、今月だけでは終わらせずに活動を継続していく姿勢が大切です。
・月3回は「安全」情報を提供
ある通信事業を営む企業では年間を通じて、毎月1日を「安全の日」と定めて、朝礼での講話やメールによる資料提供を行って必ず安全運転指導を実施しています。
さらに、15日には、職場に掲示する「安全ニュース」を配布します。そして、過去に飲酒運転事故が発生した20日を「飲酒運転根絶の日」として、毎月、飲酒運転を防止するための資料を配布して指導します。
このように、職場に月3回は啓発資料を提供して安全活動を行ってもらい、その結果を報告してもらう機会が年に一度の安全大会という形になっています。
・「安全」の実態を数値化・見える化
また、安全活動の目標を明確にするためには、「危険度」「安全度」の実態を誰でもわかるように数値化して示す必要があります。
たとえば、以下のようなデータをきちんと従業員に示しているでしょうか?
・自社の事故率や違反率──同業他社や地域の実態と比較する
・交通事故、労働災害の推移──ここ数年の増減は?
・事故によるコスト負担──事故・災害の対応に要する人件費や経費はどの程度の割合か(もらい事故も含めて算出する)
・保険料の増減──保険金よる補償支払いのため保険料負担が増加していないか
売上や営業利益が増加していても、事故等の増加により安全コストが上昇していれば、事業所としてはマイナスの成長をしていると考えるべきです。
利益率5%で営業している会社が事故により100万円の損害を被れば、2000万円の売上を失うことに匹敵します。安全性の向上がどのような利益に結びつくか、全従業員に意識させましょう。
・職場パトロールの実施
事務部門から安全活動を呼びかけた場合は、実際に現場でどのような活動が実施されているか、管理者が自分の目で見て確認しておくことも大切です。安全週間という機会はパトロールの理由づけにもなります。
「安全マニュアルの見直し・再徹底」を目標に掲げていても、職場によっては運転者や作業員がそのこと知らず、管理者が尋ねてもマニュアルがどこにあるか知らないといったことがあります。
現場での話し合いはなされずに、「いつもの行事だから」という感覚で職場長が1人で報告書をまとめるような例が少なくないからです。現場で働いている人から実態を聞いて、問題点がどこにかあるかをつかんでおきましょう。
【すべての安全運転管理担当者の方へ】
・危険要因の洗い出し
──安全週間の機会には、過去に事故・災害が発生した作業や、日頃運転者が不安に感じていること、最近の点検・整備で不具合が発覚したことを皆で洗い出し、分類してみよう。正門近くの工事のために新しくできた死角が事故要因になり得ることなど、早期発見ができる。
・過労運転防止の指導
──暑さから来る睡眠不足、日差しによる疲労などが事故要因となる。朝の点呼や健康観察を重視し、長距離運行をする運送事業の場合は中間点呼での指導も徹底する。眠気がしたら勇気をもって車を止めることを指導する。
・集中豪雨への警戒を促す
──7月の上旬は、梅雨末期の集中豪雨が発生しやすいので、運行の停止を含めて大雨や洪水災害時の対応を再確認しておく。また、豪雨時のアンダーパス部(高架下、地下道)への安易な進行は水没死亡事故につながる危険がある。マイカー通勤者を含めて周知しておく。
・熱中症予防の指導を継続
──熱中症の本格的なシーズンを迎える。平成22年7~9月の全国における熱中症救急搬送人数は53,843人で、前年同期の救急搬送人員12,971人の4.15倍となった。先月に引き続き、水分・塩分補給の重要性や睡眠の確保、日陰での休憩など熱中症予防指導を徹底しよう。
・夏季の飲酒運転根絶指導
──暑い時期はレジャー先でのビール消費等が増え、酒気帯び運転の危険が増す。夏祭りや花火大会などでの車利用を控え、ハンドルキーパーの指名などを徹底するよう指導しておく。
・夏季無事故コンクールへの参加
──地域の交通安全協会、安全運転管理者協会、交通共済などの主催する無事故コンクールが7月から9月にかけて実施されることが多い。コンクールへの参加を契機に、社内でも無事故・無違反運動を展開する。
【事業用自動車の管理者の方へ】
・安全性優良事業所の受付期間は、7月1日から14日までの2週間、都道府県トラック協会にて受け付られる(申請書類の頒布期間は平成23年6月30日(木)まで)
※「全国安全週間」に関連した行事計画表例を作成しました。活動を考えるうえで参考にしてください。
1日(金) |
・国民安全の日──安全週間を参照 |
1日(金)~
7日(木) |
・第84回 全国安全週間 平成23年度スローガン 「安全は家族の願い 企業の礎 創ろう元気な日本!」 主唱 厚生労働省、中央労働災害防止協会 |
1日(金)~
31日(日) |
・車内事故防止キャンペーン(バス) ── 国土交通省と日本バス協会指導のもと、バス事業者全体の対策として車内事故防止キャンペーンを実施する。車内事故はバス事故全体の約3割を占めている。
・夏期労働災害防止強調運動(トラック) ──陸上貨物運送事業労働災害防止協会主催の災害防止活動。全国安全週間の実施と相まって取組みを行う。 ●スローガン 「職場の危険を洗い出し リスク評価で 安心職場」 |
7日(木) |
・小暑、七夕、川の日 |
12日(火) |
・製品安全点検日 |
16日(土) |
・勤労青少年の日(7月第3土曜日) ・国土交通Day ──国土交通省設置法が公布された日(1999年(平成11年)7月16日)を記念。国土交通行政に関する広報活動やイベントが実施される。 |
18日(月) |
・海の日(7月第3月曜日) |
19日(火) |
・食育の日 |
21日(木) |
・森と湖に親しむ旬間(~31日) ・自然に親しむ運動(~8月20日) |
23日(土) | ・大暑 |
23日(土) |
・第8回 交通科学シンポジウム 13:00より 於:中央大学駿河台記念館 (JR「御茶ノ水」駅徒歩3分) 申込み・問合せ先 (社)日本交通科学協議会 事務局 |
7月上旬 |
・自動車運送事業に係る交通事故要因分析検討会の報告書(平成21年度)の公表(国土交通省) |
7月中旬 | ・平成23年6月末における交通事故発生状況公表(警察庁) |
7月中旬 | ・平成23年 秋の全国交通安全運動推進要項発表(警察庁) |
7月下旬 | ・平成23年度 全国労働衛生週間のスローガン・実施要綱の発表(厚生労働省) |
7月下旬 | ・平成23年 上半期の交通死亡事故の特徴及び道路交通法違反取締状況について(警察庁) |
7月の日没時間 (国立天文台天文情報センターによる)
1日(金) | 福岡 19:33 | 大阪 19:15 | 東京 19:01 |
15日(金) | 福岡 19:30 | 大阪 19:12 | 東京 18:57 |
30日(土) | 福岡 19:20 | 大阪 19:02 | 東京 18:47 |