今年は、災害対策や節電対策、資材確保の応援など、管理部門では交通事故防止策以外にも様々なリスクマネジメントがめじろ押しで、皆さんは大変だったと思います。
それだけに、事故防止対策が手薄になっていないか、年末にはとくに注意が必要です。繁忙期ですから、急ぎやうっかり、手抜きなどによる事故が発生しないように、無事故・無災害に向けて頑張りましょう。
■油断による不安全行動に注意!
春にはすべての行動がおっかなビックリだった新入社員や新しい部署に配属されたドライバーも、年末にはベテランのような顔で作業しています。
しかし、油断と年末の繁忙さなどが重なることで、うっかり事故が発生しやすい時期です。
社内や取引先の駐車場でのバック事故、裏道を利用することによる出会い頭事故、車間距離を詰め過ぎた追突事故、プラットホーム付近での貨物事故、積卸し時の労災事故などが発生しやすいことに留意しましょう。
■安全確認など基本動作の徹底を
事故防止には、何よりも死角の多い場所での安全確認など基本的な安全操作を徹底することが重要です。
おざなりな確認で事故やうっかりミスをすると、結果的に莫大な時間を浪費することになります。「忙しい時こそ落ち着いて確認」を合言葉に徹底させましょう。
また、繁忙期には、作業場で安全誘導等をしていた人がケガをする事故も多発します。派遣社員やアルバイトの助けを得て成り立っている現場も多いのです。
派遣社員などは十分な安全教育を受けていないと考えられますので、管理部門ではベテラン社員を派遣して臨時の現場指導などを行うとともに、安全確認の責任を誰が負うのか、最終的な合図は誰が行うのか等、ルールを明確にしておく配慮も重要です。
アルバイト誘導員の安全を守るのも事業者の義務です。
■「頼んだぞ」は禁句です!
「年末商戦の前に届けて欲しい」「年内に何とか納品を」と言われると、なんとかしたいと思うのが人情です。しかし、そのためにドライバーや現場にかかる圧力にも配慮しましょう。
忙しいとき・急いで届けて欲しいときこそ、管理者が「頼んだぞ」とドライバーに言うのは禁句です。ドライバーも「早く欲しい」ことはよくわかっていて、管理者に発破をかけられるとさらに「急ぎの心理」が高まり、無理な抜け道を使うなどして危険が増します。
この時期、ドライバーには「急ぐなよ。落ち着いて行けよ」という方が安全で早く着くと考えましょう。
・冬季の事故防止キャンペーン
すでに、北陸、東北や山間部では積雪・凍結道路におけるスリップの危険がある。タイヤチェーンの早期装着やスタッドレスタイヤ装着などを意識づけよう。
とくに、トレーラなど大型牽引車では、普通タイヤの場合は駆動輪すべてにチェーンを巻くだけでなく、最後部軸輪にもチェーン装着義務がある点などを強調する。
東日本高速道路会社の調査によると、今年は冬用タイヤの装着率が低いという。11月初旬の東北の調査では、前年25%に対し本年は13%だった。
また、滑り止め装置をしないでノーマルタイヤによる雪道走行をすると罰則があること(5万円以下の罰金・反則金は普通車6千円など)なども徹底しておこう。
【すべての安全運転管理担当者の皆さんへ】
・飲酒運転根絶指導
年末年始に向けた飲酒運転の根絶指導を展開しよう。事業所の中でも飲酒運転の危険が大きいのは一部の多量飲酒習慣グループである。
「飲酒習慣の危険度」などをチェックしてアルコール依存症の可能性に配慮するともに、忘年会などでは、前日までにマイカー通勤を自粛を促し、乗ってきた人は車のキーを預かるなど徹底しよう。キーを本人が持っていたため、事業所の駐車場まで取りに戻り飲酒運転を起こした事例もある。
また、事業用自動車ではアルコールチェッカーによる点呼の実施具合をパトロールなどでチェックするとともに、配車担当者や点呼担当者への指導を再度徹底する。
・年末の事故防止運動
地域や事業団体の主催する年末の交通事故防止運動が展開される。ドライバー向けの指導資料などを入手するよい機会なので、時間を作って各種会合に参加し、地元警察官からは人身事故事例や事故多発交差点の情報などを入手する。
ポスター貼付やリーフレットの配布だけでなく、朝礼でも事故防止運動への参加を呼びかけよう。
また、高速道路会社の情報では、本線上での故障等による停止車への追突事故、歩行者事故などが多発しているので注意を促す。居眠運転などに起因する例もあるが、1台は避けたものの後続車が避けきれなかったケースもみられるので、車間距離の十分な保持とともに、故障車の回避は「早めに大げさに」して後続車に配慮するよう意識づけよう。
・事故防止カレンダー等の配布
2012年用のドライバー安全手帳、事故防止カレンダー、職場向け標語カレンダーなどを配布します。また、年末年始の事故防止ポスターや幟なども早めに掲出しましょう。
1日(木)~ 31日(土) |
・大気汚染防止推進月間(環境省) ────例年12月は、自動車交通量の増加、ビルや家庭の暖房ほか、気象条件の影響等により、大気汚染物質の濃度が高くなる傾向にあるため、環境省では、「エコドライブの実践」など、広報活動を通じて大気汚染物質の削減を呼びかける。 (→ 詳しくは同省のWEBサイトを参照) |
1日(木)~
1月31日(火) |
・陸上貨物運送事業 年末・年始労働災害防止強調運動 ──陸上貨物運送事業労働災害防止協会(陸災防)の主唱する労災防止運動(2012年1月31日まで)。今年度のスローガンは、「転ばぬ先の杖 リスクアセスメントで災害防止」。交通事故はもちろん、荷役作業時における墜落・転落災害防止などを推進。詳しくは陸災防のWEBサイトを参照してください。 |
1日(木) |
・二輪車ヘルメット着用義務化 ──1978年(昭和53年)のこの日、すべての道路で50cc超の二輪車でのヘルメット着用が義務づけられた。1986年(昭和61年)7月5日には原動機付自転車も義務化。 |
3日(土) | ・個人タクシーの日──東京都で40~50歳で3年間無事故無違反の優良運転手173人に個人タクシーの免許が許可された日を記念して1959年(昭和34年)に制定された。 |
3日(土)~ |
・障害者週間 ──障害や障害のある人に対する国民の関心と理解を深めるとともに、障害のある人の社会参加を促進するため、今年も「障害者フォーラム2011」や「障害者週間連続セミナー」を始め、全国で様々な啓発行事が行われる(9日まで)。 |
6日(火) | ・第12回自動車安全シンポジウム──国土交通省が、「ヒトとクルマの共存をめざして ~先進技術を活用した安全対策~」をテーマに車両安全対策に関するシンポジウムを開催する。(詳しくは、同省のWEBサイトを参照) |
7日(水) |
・大雪 |
7日(水) |
・第15回交通大学 ──「交通問題と教育方法」について専門家による講義を行うとともに、参加者とのフォーラムを行うユニークな交通安全セミナー。詳しくはマイクロメイト岡山(株)のWEBサイトを参照してください。 |
10日(土)~ 1月10日(火) |
・年末年始の輸送等に関する安全総点検(翌年1月10日まで) ──国土交通省が毎年、輸送機関に対して自主点検等を通じた安全性の向上を呼びかける運動。(※詳しくは、同省のWEBサイトを参照してください) |
12日(月) | ・バッテリーの日──電池工業会が設定。野球のバッテリーの守備位置数字が1、2であることから。(※自動車バッテリーの基礎知識については同会のWEBサイトを参照してください) |
13日(火) |
・12月の製品安全点検日 ──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っている。 |
15日(木)~
|
・年末年始無災害運動(2012年1月15日まで) ──厚生労働省の後援のもと中央労働災害防止協会が主唱する運動。今年で41回目を迎える。共通標語:「声出して ゆるむ気持ちのネジしめて 年末年始も無災害」(※詳しくは、中災防のWEBサイトを参照してください) |
16日(金)~ 1月15日 |
・年末年始港湾無災害強調期間──港湾貨物運送事業労働災害防止協会による年末年始の事故防止活動。 スローガン「声出して ゆるむ気持ちのネジしめて 年末年始も無災害」 |
20日(火) |
・道路交通法施行記念日 ──1960年(昭和35年)のこの日、道路交通法が施行されたことにちなむ。それまでは、交通行政は1947年制定の「道路交通取締法」によっていて、各都道府県での行政処分基準などにもばらつきがあった。 |
22日(木) |
・冬至 |
23日(金) | ・天皇誕生日 |
25日(日) | ・クリスマス |
28日(水) | ・官庁仕事納め |
12月上旬 |
・平成23年10月までの労働死亡災害発生状況(厚生労働省) |
12月中旬 | ・平成23年11月末の交通事故発生状況の発表(警察庁) |
◆12月の日没時間(国立天文台天文情報センターによる)
1日(木) | 福岡 17:10 | 大阪 16:47 | 東京 16:28 |
15日(木) | 福岡 17:12 | 大阪 16:48 | 東京 16:29 |
31日(土) | 福岡 17:20 | 大阪 16:57 | 東京 16:37 |
12月は4時半~5時過ぎには日没。まだ明るいと思っても、4時には点灯を!