類似の判例17(発作による事故2)

服薬をやめて発作を起こした運転者に実刑判決

 2012年1月にも、トラックを運転中に発作を起こし5人を死傷させた交通事故に対して、自動車運転過失致死傷罪で禁錮刑の実刑判決がありました。

 

◆医師の指導を無視して運転、発作により意識を喪失した
 ──禁錮24月鹿児島地裁 2012年1月6日判決)

 鹿児島県姶良市の国道で2011年10月、5人を死傷させる多重事故を起こし自動車運転過失致死傷罪に問われた元トラック運転者(38)に対する裁判で、鹿児島地裁は、禁錮2年4月(求刑禁錮3年6月)の実刑を言い渡しました。

 裁判官は、被告にてんかんの持病があり、車の運転を避けるべきだったのに運転を続けたこと、薬を飲まなくても発作は起こらないと考え通院治療や服薬もやめていたことなどを指摘し、「一瞬の気の緩みや判断ミスで起きた事故とは全く異なり、悪質」と批判した上で、「安易な考えで運転をした。刑事責任を軽くみることはできない」と述べました。

 

 被告は医師から運転をしないよう厳しい指導を受けていたのに、これを無視してトラックを運転し、2011年10月19日に国道10号を走行中、発作で意識を失って車5台が絡む事故を起こし、鹿児島市の男性(73)を死亡させ、その他の男女4人に重軽傷を負わせました。

 

運転中の発作事故で8500万円の損害賠償命令

 2011年10月には、発作により死亡事故を起こしたトラック運転者とその父親らに対する民事訴訟の判決がありました。

 

◆抗てんかん薬の服用ミス/雇い先である父親の監督責任を認める

 ──(横浜地裁 2011年10月18日判決)

 横浜市鶴見区で2008年に中学2年の男子(14)がトラックにはねられた事故で、遺族4人が、てんかん患者の運転者男性(48)とその親(雇い主)に損害賠償を求めた民事訴訟の判決で、横浜地裁は「被告らの過失は重大で悪質」として慰謝料の増額を認め、計約8,521万円の支払いを命じました。

 裁判長は「運転手は過去にも同種の物損事故を起こしながら、薬の服用を日常的に怠り、過失は強い非難に値する」と述べました。

 また、勤務先の建設会社経営者だった父親についても「被告が自動車事故を起こさないように、万全の注意を払うべき義務があった」として使用者としての監督責任を認め、連帯して損害を賠償するよう述べています。

 ただし、経営者の監督責任について判決では、「会社が少人数の家族的会社であり、代表取締役が運転者の父親であることを考慮した」上での判断であることを明示しています。

 

 なお、刑事裁判については、運転者に対して禁錮2年8月の判決が2009年3月18日に横浜地裁で言い渡され実刑が確定しています。

(※判例時報2131号/平成24年1月11日号86-93頁を参照しました) 

 

(2012年1月31日更新)

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