3月は寒気が弱まるとはいえ、まだ、北陸や東北以北、あるいは山間部では雪が残り、突然の天候悪化から吹雪にも見舞われることがあります。2月から引き続き、冬型事故の防止対策を徹底してください。とくに3月下旬は、気が緩みやすいので、山間部の高速道路などでの突然に降雪に注意しましょう。
・車内が乱雑では運転に集中できない
さて、今月は年度末ということもあり、棚卸しや決算業務で忙しい方も多いと思いますが、物事の整理・整頓が大切なことを痛感する時期でもあります。新しい年度に向けて、整理・整頓・清潔の徹底に取り組んではいかがでしょうか。
まず、重要なのは車内の整理・整頓です。車内に伝票が散乱していたり、私物が乱雑に置いてある運転者には注意しましょう。運転業務に集中できないため、「わき見運転」の恐れがあります。
また、連絡書類を車に乗り込んでから探して見るような業務の仕方そのものに問題があります。出発前のミーティングで経路や重要ポイントなどを確認して、その日の業務をしっかりとイメージして運転を始めるように促し、書類はカバンや助手席の下などに整理して、運転中は目を運ばないようにさせましょう。
●清潔な車両で運転させる
冬場は洗車がきつかったと思いますが、3月には温かい日もありますので、なるべく定期的な洗車を行うよう指導しましょう。
洗車の過程で、見えなかった小さな擦り傷などに気づくこともあります。擦り傷でも傷がつくということは、運転者の行動に問題がある場合があり、深刻なケースでは居眠運転などが隠れていることもあります。
また、車が汚れていると紛れてしまいますが、洗車して社有車がすべてピカピカになると、へんこんだ車や傷のある車はよく目立ち、事故を起こした運転者は恥ずかしいものです。
車がきれいだと運転にも影響しますので清掃は重要です。
●構内事故を整頓で防ぐ
道路上での交通事故だけでなく、構内や駐車場における事故もよく発生しています。多くは物損事故ですんでいて、運転者への注意程度で終わりがちですが、事故原因をよく調べてみると、現場を整理・整頓することで同種の事故の危険を防ぐことができる事例も少なくありません。
構内の荷物置き場がはみ出してきているため、車の経路が狭くなっていて、余計なバックが必要になり、事故が発生しているような例があります。このような事故は、運転者だけでなく構内の責任者とともに改善する必要があります。
取引先の駐車場の場合であっても、事故防止のためには、改善策を提案しましょう。
安全確保には、「注意しろ」と言うだけでなく、環境の整備も必要です。
●経路を整理して事故防止を
運転経路の整理・整頓も重要です。工場への入り方・出方などを細かく指示するメーカーがありますが、車の流れを構内で一方通行にして、出会い頭事故などを少なくしようとしているのです。
同じことが、会社近くの経路や通勤経路でも考えられます。自転車通勤が増えてきたある工場では、マイカー通勤車両が右左折して入構する入り口を、自転車が通行しないようにして、自転車用の出入り口を別に開設しました。
また、マイカー通勤車両がよく右折する会社前の交差点で自転車が横断するのを禁止し、自転車は手前の信号を使用するように指導しています。
【すべての安全運転管理担当者の皆さんへ】
・春の全国交通安全運動の準備を!
3月中には交通安全運動の実施計画を各職場に配布し、職場担当者の準備を促す。
また、「シートベルトの全席着用キャンペーン」や「生活道路における自転車・歩行者の安全確保キャンペーン」、「飲酒運転根絶キャンペーン」などに向けたポスター、教材、映像資料などの配布を検討する。
社内ホームページにも、交通安全運動のコーナーを設置して、安全運動の実施要綱・運転者への指導ポイントなどを整理し、社内報メールにも掲載して、全員の注目を促す。
※全国交通安全運動の詳細に関しては、 → こちらを参照
・総合防災点検の実施
火災予防週間や震災記念日などの機会をとらえて、防災・火災予防の体制を見直しておく。
自働火災報知設備などの点検、車載消防用具の点検、災害時などの緊急対策本部の設置や緊急連絡体制の確認、連絡網に関しては携帯電話番号などの更新情報がないかをチェックしておく。
震災当時機能しなかった災害対策などの問題点が改善されたかも、この機会に話しあっておく。
・新入社員を迎えた安全指導
正式入社日は4月1日であっても、実際には3月に研修の始まる企業も多いので、新入社員対象の交通安全研修会を準備する。
新入社員については、本人の了解をとって、入社時に運転記録証明書や無事故・無違反証明書などを提出してもらい、交通事故や違反などの履歴をチェックしておきたい。
過去に大きな人身事故を起こしている人は、疾病などが隠れていないかも確認しておく。また、入社時には安全運転テストや違反知識テストなども実施し、交通安全態度や交通違反に対する意識を調べて、個人ファイルに入れておく。
・新年度の交通安全計画の発表
平成23年度の交通事故、違反の実態を踏まえた、安全運転目標・交通事故削減目標を立てる。
月別目標については、年間の各種安全運動などとも呼応した安全活動の計画を立てる──「春/秋の全国交通安全運動(4月・9月)」「全国安全週間(7月)」「車内事故防止運動(7月/バス)」「全国労働衛生週間(10月)」・「正しい運転明るい輸送運動(11月/トラック)」「年末年始事故防止運動(12~1月)」など)──事故防止活動を強化する期間には、職場パトロールなどの計画も入れておく。
【事業用自動車の運行管理者の皆さんへ】
・初任運転者への対応
新入社員を事業用自動車の運転者として選任する場合は、運転経歴の調査(※1)と適性診断、「初任運転者への特別な指導」の実施が乗務前に必要です(※2)。
適性診断や特別な指導は、自動車事故対策機構や一部の自動車教習所など外部の専門的機関で受けることができます。
事業用自動車ではトラックやバスなど大型車を初めて運転する場合も多いので、運転に関するきめ細か指導が重要な意味を持ちます。
・作業者への安全教育準備
運転者以外でも、倉庫などでのフォークリフト作業や補助作業のための人員を新たに雇入れた場合は、安全衛生教育を実施することが義務づけられています。
新入社員は現場での危険をよく理解していないため被災しやすいので、きちんとした労災防止教育を実施しましょう。
とくに、「荷役機械の危険性と特性」「作業手順」「点検方法」「整理整頓の重要性」などを指導しておきます。
※1
自動車安全運転センターの発行する無事故・無違反証明書または運転記録証明書(運転経歴証明書)により、入社前の事故歴を把握する。死亡・重傷事故など事故惹起運転者に該当する場合、「特別な指導」は「事故惹起運転者」向けの内容が必要となる。
※2 やむを得ない事情がある場合は乗務開始後1か月以内に指導を実施する。
1日(木) ~31日(土) |
・自殺対策強化月間──3月の1か月間 |
1日(木)~ 7日(水) |
・車両火災予防運動(春季全国火災予防運動) ──消防庁と国土交通省の共同主唱。車両交通の関係者や利用者の火災予防意識の高揚と車両火災防止を目的として、全国火災予防運動とあわせて同期間に実施される。 |
3日(土) |
・雛祭り(桃の節句)/耳の日 |
4日(日) |
・運行管理者試験(平成23年度第2回試験) ──詳細は財団法人運行管理者試験センターのWEBサイトを参照 |
5日(月) |
・啓蟄 |
7日(水) |
・消防記念日 ──昭和23年のこの日に「消防組織法」が施行されたことを記念して設定。全国の消防本部等で消防訓練、記念式典など様々な行事が行われる。 |
7日(水) |
・平成23年度アルコールシンポジウム 「アルコール問題を考える」 ──主催:厚生労働省/ 於:国立がんセンター内国際研究交流会館(東京都中央区築地5-1-1)/「アルコールと生活習慣病」「アルコールの減らし方」「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)最終評価について」他 詳しくは厚生労働省のWEBサイトを参照 |
11日(日) | ・東日本大震災1周年──政府主催の追悼式典のほか、合同追悼式などが被災地の各地で行われる。亡くなられた方々の慰霊のほか、震災の経験と教訓を再確認する。 |
13日(火) | ・3月の製品安全点検日──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っている。 |
14日(水) | ・ホワイトデー |
20日(火) | ・春分の日 |
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3月上旬 |
・安全衛生標語」の募集──標語の種類は、平成24年度年末年始無災害運動標語・平成25年年間標語~例年、締切りは4月30日(中央労働災害防止協会) |
3月中旬 |
・平成23年中の30日以内交通事故死者統計の発表(警察庁) ・平成24年使用の交通安全スローガンポスターデザイン入選作の発表(全日本交通安全協会) |
3月下旬 |
・平成23年12月分 トラック輸送情報(国土交通省) |
◆3月の日没時間(国立天文台天文情報センターによる)
1日(水) | 福岡 18:15 | 大阪 17:54 | 東京 17:36 |
15日(水) | 福岡 18:26 | 大阪 18:06 | 東京 17:49 |
29日(水) | 福岡 18:38 | 大阪 18:18 | 東京 18:02 |
日が少し長くなり、西日本は6時過ぎに日没。
5時ごろに点灯しましょう!