サントリーロジスティクス㈱では、平成24年1月から2月にかけて、東西の拠点で今年度の安全大会を精力的に実施しました。
1月28日(土)には埼玉県八潮市で、2月4日(土)には大阪市で輸送協力会社を招いた安全大会が開催されました。また、平行して社内独自の安全大会も開催しました。
今年度は、2月5日(日)に堺市民会館で開催された西部地区社内安全大会を取材しましたので、その概要を報告します。
★物流品質を高めて安全・安心を提供する
西部地区の社内安全大会では、まず、同社の千原光社長が開会の挨拶にたち、
「大震災などによる厳しい経済情勢にもかかわらず、長距離輸送の需要があり、皆さんの頑張りのお陰で増収増益を達成することができました。一方で、安全の成績はどうかというと、事故や汚破損の削減目標に完全には達していないことを反省し、物流の品質向上には更なる努力が必用です。基本動作の励行、安全確認の徹底などで防げる事故がほとんどです。初心に戻って、安全・安心の提供に取組みましょう」と述べました。
★無事故を支える仕組み作り──研修体制の構築とコミュケーション深化
続いて、2011年の安全活動の報告、事故や汚破損の実態並びに2012年の活動方針について、町田慶太安全推進部長が全社レベルの報告を行った後、保木本英人西部支社長以下各支店レベルの報告がありました。
町田部長は、物流技術研究会などのへ活動参加や5S活動を通じて、全社のモチベーションが上がりつつあることを評価し、新しい年度に向けて、
「事故を起こしたりルール違反をした時、当事者が責められるということだけでは、本当によい職場とは言えません。日頃、目に見えないところで一生懸命に安全を支えていることも評価されていないと、皆のやる気は出てこないでしょう。
今年は、働きがいのある職場づくり、やる気の出る 活動を通じて、皆が『自慢できる』会社を目指すことで、安全・安心のレベルを高めていき たいと思います」
と活動方針を語りました。
無事故を支える具体的な仕組みづくりとしては、
① 研修体制の構築──向こう4年間で全員に物流技術研修を受講してもらい、インストラクターへのスキルアップ、他社での研修指導などを目指す
② 現場巡回指導を活発化し、安推部もドライバー等と情報のキャッチボールに努める
③ マネージャー、事務系社員も現場の物流研修を一緒に受け、意見交換会を行う
④ 5Sリーダー研修を継続し、レベルを高める
などの目標を示しました。
★顧客の信頼獲得の努力を
保木本支社長は、安全確認不足や動態確認ミスなどうっかり要因による事故・汚破損が多い事に触れ、「決めたルールは必ず守る 」ことの重要性を改めて指摘しました。さらに、1件でも事故や汚破損があれば、荷主・顧客の信頼を失うという強い危機感を持つように訴えました。
また、各支店の関係者からは、小集団活動による安全ミーティングの強化や物流技術研究会の研修にインストラクターとして参加した経験、ドライバーコンテストへの参加などが、現場スタッフのモチベーションを高めることにつながっていると報告がありました。
大会の後半では、5S活動コンテストが行われました。
サントリーロジスティクス株式会社が全社的な5S活動に取り組み始めたのは2010年からのことです。単なる美化運動ではなく、「安心して仕事ができ、効率良く労災事故のない職場づくり」を目指して導入されました。
初年度も各支店の5S取組みを安全大会で発表しましたが、今年は、2011年に実施した活動の報告とともに、社長以下関係役員が取組みを評価して採点・審査して、賞状と賞品を送るコンテスト形式で実施しました。
ドライバーはもちろんフォークリフトオペレータや事務担当者により、以下の6グループ・6テーマの活動発表が行われました。
5S テーマ | 支 店 | 評 価 |
① 倉庫換気時の作業効率改善と労災防止 | 大阪支店 | 優秀賞 |
② 車両備品の整理・整頓とマニュアル作成 | 南大阪支店 | 優秀賞 |
③ 構内安全通路の確保(歩車分離) | 大阪支店 | 優秀賞 |
④ フォークリフト走行時の安全確保 | 南大阪支店 | 優秀賞 |
⑤ 備えあれば憂いなし(防災対策グッズの整理) | 南大阪支店 | 優秀賞 |
⑥ 労災防止に向けた改善工夫 | 山崎事業所 | 最優秀賞 |
■ラインによる見える化が接触を防ぐ
①のグループは、港湾に近い風の強い倉庫で、湿度管理のため換気用ドア開放が安全に継続するよう工夫をした取組みと、製品出入荷場で空パレットの整理ラインをひいて車両の通行帯を確保し、トラブルを防いだ措置について発表しました。
空パレットなどはともするとはみ出しやすいので、ラインなどで見える化すると整理が進み、無用な接触事故を防ぐことができます。
■車載備品を整理、置き場所をパウチで明確化
②では、交替乗務制をとる中で、車両の非常備品が装備されているか、装備品の置き場所を各ドライバーが把握しているかを調査しました。その結果、三角表示板が見つかりにくかったり、発炎筒の使用期限が過ぎている例が多いことなどが判明しました。すぐ新品の配備を行うとともに、車両種類ごとに備品の置き場所を取り決め、マニュアル化(パウチ)して、車検証入れにパウチを収録。どの車に乗っても、非常時には安心して迅速に対応することができる体制をとりました。
■フォークリフトと歩行者の完全分離
③では、フォークリフトが構内作業をしている場所での歩行者用通路を確保したという取り組みです。事務所から連絡業務に出向いた女子社員が構内で怖く感じたことから対策がとられました。
荷物が置かれた壁側スペースを整理して人間しか通れない幅の歩行者安全通路を確保、フォークリフトと分離し、声かけルールなども設定することで事故防止を図っています。
■フォークリフト左側通行による出会い頭防止
④グループもフォークリフト作業の安全確保です。荷物が高く積まれ死角が多い場所ではフォークリフト同士の出会い頭事故の危険があり、急制動でパレット貨物事故なども起こりやすい環境でした。そこで、思い切って構内のフォークリフト走行路にセンターラインをひき、左側通行を順守することで事故防止を図りました。
片側通行にしたことで速度は落ちますが、すれ違いもスムーズにいくようになり、交差場所でも相手の発見がしやすくなり、旋回時などの危険も減りました。
■災害グッズを食堂倉庫に整理
⑤は事務所の女性社員の取組みです。事務所内にあるはずだった非常用コンロ等災害用のグッズ、非常用食料などがどこにどの程度あるのか、徹底調査して、隠れていたものを食堂内のケースに整理し、備品表も作成して見える化を図りました。
また懐中電灯は、設置場所を4箇所に増やし、皆がすぐ見える場所に移動することで、「非常時に役に立つ」改善を進めました。
■メンバーの意見を聞いて総合的に改善
⑥は、広範囲に渡る倉庫作業時での労災事故防止の取組みです。転落・挟まれ・巻き込まれ防止を中心課題として全メンバーから使用機器や作業場でのヒヤリ・ハットを聞き取りました。その後話し合いで優先順位を決めてから、メーカーへの依頼事項とともに自らできる改善策を工夫しています。
作業台の改善、通路の滑り止め、手すりの高さ改善、ベルトコンベア可動箇所の安全カバーなど、各種の改善を実施しました。
どれも、甲乙つけがたい汗と努力の結晶であり、有意義な5S活動の発表でした。
審査では、リーダーだけでなく事業所全体での取組み度合いや、改善内容の効果などを総合的に評価した結果、⑥の山崎事業所グループが最優秀賞を受賞しました。