ドライバーとのコミュケーションをとるのは、朝礼や点呼時しかない、という事業所も多いと思います。
朝礼・点呼時にドライバーと実のある情報交換をしていますか?
型通りの訓示ではなく、安全運転のための有効な指導をしていますか?
また、事故の危険に結びつきそうな兆候に気づいているでしょうか?
トラック運送事業などで居眠運転事故や酒気残り事故が発生したとき、点呼が未実施であったためとされ、運行管理者の責任などが追及される事例もありますが、これは問題外といえます。
実際には点呼が行われ、管理者とドライバーが顔を合わせている職場でも、交通事故の兆候を見抜けない場合があります。
以下のような問題点が考えられます。
【点呼や朝礼の問題点】
・点呼前から「運転させる」ことを前提としているので、運転者の疲労や健康問題などを見逃してしまう。
・体調不良などを正直に申告すると、管理者や配車担当者が慌ててしまい、代替運転者などの手配も大変そうなので運転者が言い出しにくい。
・点呼や朝礼の時間を長くとるとドライバーがイライラするので、手早く済ませることばかり気にして、内容がおざなりになっている。
・ドライバー、管理者双方ともにその日の運行上の問題点などを朝礼・点呼時に確認しようという姿勢がない。
これらの問題を解決するためには、朝礼や点呼の重要性を管理者・ドライバー双方がよく理解し、真剣に実施するように職場の体制を整備していく必要があります。
●代替ドライバーなどを常に考えておく
第一に重要なことは、点呼は「運転者が運転できない可能性」を想定して行うということです。問題がある場合は代替ドライバーを立てることにして、代替者をどのように確保するのか、事前にシミュレーションしておくことが重要です。
管理者は運行スケジュールを組むとき、それがダメになったときのプランも組むようにして、柔軟に対応できる用意をしておきましょう。
●休んでも代わりがあることを知らせておく
また、休みやすい状況を用意することも重要です。
真面目なドライバーほど、自分が休むと大変なことになると考え、無理な運行を決断しがちです。「健康に問題があれば、勇気を持って休む」ことを徹底し、常に代替者を当てる準備があることを強調しましょう。
●具体的な情報を聞き出す
生活習慣病などの既往がある人がいたり、インフルエンザなどに罹患している恐れがある場合は、気になるドライバーから具体的な話を聞きましょう。
「昨晩は、何時間ぐらい眠れましたか」
「熟睡できましたか、途中で目が覚めなかったですか」
「体温は測りましたか?何℃ぐらいでしたか」
「くしゃみがひどくて辛くないですか」
「頭は重くないですか?」
「涙が頻繁に出て、運転に支障がないですか」
「どんな薬を飲んでいますか?眠くなる薬ではないですか?」
ドライバーの答えを聞き、普段の様子と比べてどの程度の体調かを判断しましょう。もし、健常時に比べて80パーセント以下の体調と感じるのであれば、運転を交替させた方がよいと判断しましょう。
●ドライバーの側から報告する体制にする
点呼時に、「今日は体調が悪い人いますか」と聞いても、なかなか自分から手を上げにくいものです。ドライバー個人から管理者(点呼者)に体調を報告する仕組みにして、そのとき、理由を尋ねるようにしてはいかがでしょうか?
ドライバーA 「今日の体調は、満点の100点です」
管理者 「いつも元気だな! 頑張ってね」
ドライバーB 「今日の体調は 100点満点の80点!
というところですね」
管理者 「どうしたの」
ドライバーB 「昨晩子どもが夜中に熱が出て救急病院
に行ったので、少し寝不足気味です」
管理者 「それは気の毒だったね。
よし、午前中戻るシフトに変更しよう」
普段からドライバーとの会話がないと、家庭の事情なども話しにくいでしょう。日頃のコミュニケーションの有無が、点呼時の情報交換に反映します。
(2012.2.29更新)
過労運転などを防ぐために、点呼は重要な業務ですが、いざ、ドライバーと向き合ったときに何を話せばいいのか、戸惑う管理者も少なくありません。
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乗務前点呼はもちろん、乗務後や中間点呼まで点呼者が忘れてはならないチェックポイントを理解することができます。
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●ワンー・ツー・スリーで意識づける
朝礼・点呼時には、安全運転に役立つ情報を与えることが必要ですが、口頭で注意されてもドライバーの印象には残りにくいのが実情です。
点呼簿などに教育内容をメモして口頭で説明する管理者が多いと思いますが、それだけではインパクトに欠け、ドライバーの意識にも残りません。
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