新年度を迎えました。事故防止のための体制は万全でしょうか。管理者一人では安全運転の確保を維持するのは難しい面があります。
4月は、交通安全運動も実施されますので事故防止委員会や安全推進組織を立ち上げるよい機会です。職場のスタッフで分担して、組織として事故防止に取り組みましょう。
■3つのポイントで組織的な安全活動を展開
清涼飲料のベンディングサービスを行うA社では、次の3つのテーマを掲げて、安全運転推進組織をスタートさせました。現場の営業マンの意見を吸い上げ、実態にあった事故防止活動を行うのがねらいです。
●現場の安全は現場の責任──現場の営業ドライバーのなかから推進委員を選び、安全運転推進会議に出席して報告する義務や指導資料の管理など責任を負わせるとともに、いつ活動をするかなど現場で決めるように権限を与えました。
●ボトムアップが基本──活動テーマも自分達で決めさせるなど、本社や管理者からの押し付けを行わないようにして、推進委員や現場の意欲を尊重しました。よい活動は、推進委員会で発表して全社に実践を促すようにしました。
●エコドライブと連動する──省エネも会社の重要方針でしたが、エコドライブこそ安全運転に結びつきますので、環境推進組織を作らずに安全推進委員がエコドライブ推進委員を兼ね、会社の環境改善推進委員会にも参加させるようにしました。
■数値化して安全活動を評価
職場によって安全運転推進委員の活動にはバラつきが見られましたので、管理者は毎月の会議で活動を数値化して評価し、活発に実践する部門の工夫などを見習うように促しました。
たとえば、燃費などは数値化しやすいので、部門別の結果を比較して、成績のよい職場の工夫を発表させました。
また、職場での安全指導についても、何人に対して何分、何回行ったかを数値化して示し、短時間でも複数回実施している部門は評価するなど、配慮しました。
また、各部門での活動について写真を撮ってもらい、推進委員会で回覧し、評価の高かった活動については社内に掲示して見える化を図りました。
A社では、安全運転推進委員会を組織してから、次期の安全運転管理者となれるような人材が育っています。
【すべての安全運転管理担当者の皆さんへ】
●春の全国交通安全運動に取り組む
4月6日から交通安全運動が実施される。活動のテーマや重点目標が職場に周知されているか配布物、掲示物をチェック。また、社内報(メールマガジン)や社内ネットの掲示板などにも交通安全運動のポイントを明記しておこう(運動の概要については、こちらを参照)。
運動時期をとらえて、交通安全テストや運転適性診断などを実施するのも効果的だ。
なお、道路交通法の施行規則が改正され(4月1日施行)、一部の交差点では右折矢印でUターンができるようになる。こういった情報も交通安全運動時期に周知しておこう。
また、交通安全運動の機会に、全従業員に「安全運転カード」などを配布する事業所もある。記名して「交通安全運動に積極的に取り組む」ことを宣言するとともに、家族の顔写真を貼る欄も設けて、安全運転への自覚を促す。
裏面は、事故発生時の緊急メモになどを入れておき、交通安全運動以後も車内に常備するよう促す。
安全運転カードの実例はこちらからダウンロードできます(無料)
●新入社員に対する車両運転指導
運転経験の浅い新入社員には、発進時の確認ミスやバック時の衝突、駐車場内での接触など、経験の浅い層に特有の交通事故が多い。
そこで、駐車場などに新入社員を集めて、実車を使った簡単な指導を施すと効果的だ。
とくに、ワンボックス車など死角の大きい車両を動かすときには、どこが見えにくいか、どこが接触しやすいか具体的に説明し、注意を促す。
●飲酒運転撲滅指導
飲酒運転による人身事故は減少傾向にあるが、皆無とは言えない。春の行楽時期には、昼間に観光地でビールなどを飲んで、「十分休憩したから大丈夫だろう」とハンドルを握り、酒気帯び運転となる危険がある。
「飲んだら(しばらく)乗らない/飲んだら休憩」ではなく、車で行く時には「絶対飲まない」という指導が重要。
また、大型連休の時期は宴会などの誘惑も多い。前夜の飲酒残りに気づかないで、翌朝、酒気帯び運転を指摘される例もあるので、アルコールの分解には十分な時間が必用であることを強調しておこう。
【事業用自動車の運行管理者の皆さんへ】
・新入社員の免許条件を再確認
新たに雇入れたドライバーの免許条件などについて再度チェックしておく。平成19年6月以降に取得した普通自動車免許では、中型自動車は総重量8トン未満でも運転できないので注意する。
(※なお、うっかり失効などで普通免許を再取得した人も8トン限定の中型免許はなくなっているので気をつけよう)
また、普通免許でAT限定のドライバーも少なくないので、車種を配慮する。最近は、限定免許でなくてもAT車の運転経験しかないドライバーが多いので、小型車ではトラックを全車AT化する事業所も少なくない。
・ISO39001の検討、研究の開始
今年の秋(計画では11月)から、道路交通安全マネジメントシステム ISO39001 規格が発行される予定。運輸安全マネジメントのように国土交通省が法律に基づき実施するものではなく、民間が管理する任意の認証規格だが、国際規格であり参考にする価値はある。
規格の認証対象は自動車運送事業者だけではなく道路の利用・設計・製造・運用・保守・法規制に関わる幅広い組織となっていて、流通業や営業車(自家用車)を保有する一般企業、道路建設業、自動車メーカー、駐車場管理者、地方公共団体等も対象となる。
顧客からの要望が高まる可能性もあり、すでに損害保険会社をはじめコンサルタント事業に着手する会社も出ているので、春から資料を請求して検討しておこう。
1日(日)~ 30日(月) |
・未成年者飲酒防止強調月間(国税庁)──未成年者の飲酒防止を徹底するため、毎年4月にはポスターや各種媒体を通じて集中的に広報が行われます。飲酒運転に関連した資料も配布されます(詳しくは国税庁のwebサイトを参照) |
1日(日) | ・改正道路交通法施行規則の施行──矢印信号に関する規定の整備(右折矢印で転回が可能に)/聴覚障害者が運転できる車両の種類の拡大(全ての普通自動車と二輪車等で運転が可能に → 詳しくはこちらを参照) |
2日(月) |
・エコカー補助金の受付開始 ──環境性能に優れた新車を購入し1年間以上使用する場合に対して補助金が交付されます。平成23 年12月20 日から平成25年1 月31 日までに新車新規登録した車両が対象。申請締切は来年2月28日(木)ですが、申請総額が予算額を超過する場合には申請締切前であっても募集が終わります(詳しくは、こちらのサイトを参照)。なお、エコカー減税も3年間延長される予定。 |
6日(金)~ 15日(日) |
・春の全国交通安全運動─「子どもと高齢者の交通事故防止」
(内閣府) |
7日(土) |
・世界保健デー──世界保健機関(WHO)の設立記念日。世界各国で健康的な生活について考えてもらうためのさまざまなイベントが開催されます。 |
7日(土) | ・労働基準法公布記念日──1947年(昭和22年)のこの日、労働基準法が公布されました。 |
8日(日) |
・タイヤの日──日本自動車タイヤ協会が制定。ドライバーにタイヤへの関心を高め、空気圧のチェックなどの啓蒙推進活動を行なっています(タイヤ協会のwebサイトを参照)。 |
10日(火) | ・交通事故死ゼロを目指す日(内閣府) |
10日(火) | ・4月の製品安全点検日──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っています。 |
13日(金) | ・国際交通安全学会──2011年度「研究調査報告会・学会賞贈呈式」 |
14日(土) | ・新東名高速道路開通──御殿場JCTと三ヶ日JCTまでの区間162キロが一挙に開通(全線開通は平成32年度予定)。 |
16日(月)~ 22日(日) |
・科学技術週間──毎年4月18日の「発明の日」を含む1週間は「科学技術週間」と定められています。 |
18日(水) | ・よい歯の日──4月18日の語呂合わせから日本歯科医師会が制定。丈夫な歯をいつまでも保ってもらおうとの願いがこめられています。 |
20日(金) | ・穀雨──24節気の一つ。田畑の準備が整う頃、それに合わせて穀物の成長を助ける春雨の降る時期とされています。 |
29日(日) | ・昭和の日 |
30日(月) | ・振替休日 |
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4月上旬 |
・事故防止対策支援推進事業等の申請受付開始(国土交通省) |
4月中旬 |
・平成24年3月末までの交通事故発生状況発表(警察庁) ・平成24年度 全国安全週間のスローガン、実施要項発表(厚生労働省) |
4月下旬 |
・平成24年度 貨物自動車運送事業安全性評価事業の申請書類の配布(都道府県トラック協会) |
◆4月の日没時間(国立天文台天文情報センターによる)
1日(金) | 福岡 18:38 | 大阪 18:19 | 東京 18:02 |
15日(金) |
福岡 18:49 |
大阪 18:30 | 東京 18:14 |
30日(土) | 福岡 19:00 | 大阪 18:42 | 東京 18:26 |
日が長くなってきましたが、東日本は6時すぎには日没です。
5時を回ったら点灯を考えましょう!