前回、朝礼・点呼時の情報交換の問題点を指摘しましたが、点検などの結果報告を受けることも点呼時の重要ポイントです。車両点検の結果などをフォローしていますか?
車両点検の不備からブレーキやハンドルが効かずに交通事故を起こすことは、最近の車両では少ないのですが、ちょっとした故障で高速道路に停止せざるを得なくなったときに、後続車に衝突されて大きな事故となる例があります。
さる3月11日の朝にも愛知・岡崎市の東名高速道路で、左側車線に停車していた乗用車にトラックが衝突して2台とも炎上し、乗用車のドライバーが焼死する事故が発生しました。乗用車は故障を知らせる三角形の表示板を車の後ろに置いていたということです。
この事例のように、少しの故障やガス欠などで停止した場合でも従業員の生命が失われる危険があるという危機意識を持つことが重要です。
事業用自動車はもちろん毎日運行前の日常点検整備が必要ですが、自家用自動車の事業所でも貨物自動車の場合は、毎日1回運行前の日常点検が義務づけられています。朝礼や点呼で点検の実施内容をチェックしているでしょうか?
毎日点検表を更新するのは大変なので、1か月分の点検表を使用する事業所が多いと思いますが、整備管理者の確認欄や管理者確認欄に判が押されていない場合があります。管理者側のチェックが形式的になって、車両まで目が届いていないのです。
もう一度基本に戻り、ドライバーや点呼実施者には車両の状態をチェックする責任があることを自覚させましょう。
→ 日常点検表は、こちらからPDFでダウンロードできます
ある事業所では、朝礼時に右のようなシートを見て、管理者と営業ドライバーで話し合ったところ、高速道路上での故障についてどう対処するか誰も知識がなく、追突される危険についても考えていないことがわかりました。
そこで、高速道路における故障時の対処方法を確認するとともに、再度、車両の日常点検のあり方を見直すように指導しました。
また、点呼時に見過ごしやすいのが休み明けに出勤したドライバーへの指導です。事業用自動車の事故データによると、事故は「休み明け」に多いという統計があります。
その原因としては、休日明けは休日レジャーの疲れなどで身体の機能が低下状態にあったり、運転へのカンが鈍っていたりなど、様々な要因があると考えられます。
一斉に業務の始まる職場では、月曜日の指導が重要ということになりますが、交代勤務の職場では、管理者はだれが休み明けのドライバーであるかをしっかりと把握する仕組みを作っておきましょう。
→ 詳しくは、事業用自動車の事故統計(国土交通省)を参照
あるトラック運送事業の管理者は、毎日、点呼簿の氏名チェック欄に、休み明けのドライバーだけ黄色いマーカーをして区別し、そのドライバーには、「安全運転イエローカード」を渡して「休み明けの運転は危険が大きい」ことを指導し、休憩時などにカードを見て、自分の体調を自覚するように配慮しています。
イエローカード例は、こちらからPDFでダウンロードできます
(2012.3.15更新)
点呼の実施は事業用自動車の運行管理者の義務であり、ぬかりなく実施をしなければなりませんが、いざ、ドライバーと向き合ったときに何を話せばいいのか、戸惑う管理者も少なくありません。
本DVDは、トラック運送事業の安全運行のために欠かせない「点呼」のポイントを管理者とドライバーのやり取りによって具体的に紹介していますので、毎日の点呼のご参考にしていただくことができます。
乗務前点呼はもちろん、乗務後や中間点呼まで点呼者が忘れてはならないチェックポイントを理解することができます。
朝礼・点呼時に口頭で注意されてもドライバーの印象には残りにくいのが実情です。
下のようなイラスト入りのシートを見せて指導すると効果的です。
トラックドライバー向けの指導・監督資料については → こちらを参照