昨年の地震以来、日本列島は大規模な災害に見舞われる例が目立っています。
初夏の局地的な異常豪雨、台風による洪水災害、低気圧による突風、竜巻などが発生し、自動車にも多大な被害が及んでいます。
6月は梅雨入りして雨の多い時期ですが、そろそろ台風も発生しますので、強風などにも注意しましょう。
■大雨による冠水に注意
集中豪雨などで予想外の大雨が降ると、高架の下など車道部がアンダーパス構造となっている場所(鉄道高架下など周囲より急に低くなっている道路)が冠水し、車が脱出できなくなり乗員が死亡するケースもあります。
国土交通省関東整備局の調査では、異常な豪雨によって冠水する恐れがあるアンダーパス部の冠水注意箇所が東京都内だけでも125箇所あると発表しています。
事業所の近くにどのようなアンダーパス危険箇所があるか、自治体のホームページなどでチェックするとともに、ドライバーに対して豪雨時には安易にアンダーパス箇所を走行しないよう指導しましょう。
日本自動車連盟(JAF)のWEBサイトからは、道路冠水時の危険についてテストしたビデオをダウンロードでき、参考になります。
インターネットホームページなどでも情報を集めよう
■強風時の運転にも注意しよう
台風はもちろん、強い低気圧の影響で強風が吹いたり竜巻が発生することも少なくありません。今年4月初旬に爆弾低気圧によって突風が発生した時にも、最大瞬間風速を更新する地域が多く、トラックなどの横転事故が相次ぎました。
運行可否の判断は難しいでしょうが、天候のニュースを見逃さないで、強風警報などが出たら、早めに運行停止の連絡をしましょう。
また、現地の天候はドライバーが一番よくわかります。竜巻などは極めて局地的ですから、災害事例などを紹介し「少しでも不安を感じたら、現場の判断で勇気を持って運行を停止し、安全な場所に避難する」ように指導しましょう。
【すべての安全運転管理担当者の皆さんへ】
■全国安全週間準備期間
6月は「全国安全週間」の準備期間。安全確保のための活動を実施しましょう。
職場の安全活動で最近よく使われる言葉に「リスクアセスメント」があります。これは潜在的なリスクを洗い出し、危険性を低減して安全水準を高めようとする先取り型の安全管理手法です。
一般的な労災対策では、以下のような作業を対象として危険要因を洗い出します。
① 過去に労働災害が発生した作業
② 労働災害を伴わなかった危険な作業(ヒヤリ・ハット事例)
③ 作業者が日常不安を感じている作業
④ 過去に設備に係わる事故があった作業
⑤ 作業・操作方法が複雑で、説明書等による手順が必要となる機械等の操作作業
運転業務に対しても、このような視点で潜在的なリスク要因を洗い出しましょう。
たとえば、マイカー通勤者の中で集団登校の児童の横を通る時、不安を感じている人がいるのなら、道路の安全パトロールなどを実施して具体的な問題点をつかみ、経路の見直しをするべきです。
子どもの列に車が突っ込む痛ましい事故が各地で起こっています。事故が起こる前に潜在リスクを見つけることが大切です。
■危険物への対処は万全ですか
6月第2週は危険物安全週間(3日~9日)。ガソリンなど引火性液体を管理している職場では、安全対策をチェックしておきましょう。
とくに、
●危険物の輸送や受取りには、有資格の取扱い者が必ず立ち会う
●ガソリンなど引火性液体は強い刺激による静電気の発生で爆発する危険がある
●引火性危険物は、ライターなど小さな火でも引火する危険がある
●消火は専用の消火器を使用し、水を避ける(水は延焼を拡大する恐れあり)
──などの点を徹底しておきましょう。
なお、 (財)全国危険物安全協会では、可燃性固体(赤りん、固形アルコール等/危険物第2類)と引火性液体(軽油、ガソリン等/危険物第4類)などにわけて、それぞれ起こりやすい災害事例などに関する啓蒙ビデオを公開していますので、参考にしてください。
■熱中症の防止対策
気温や湿度の急激な上昇で、熱中症などの危険も予測されます。荷卸し時や現場について屋外作業をする運転者には十分に注意を促し、塩分・水分の摂取と休憩に努めさせましょう。
環境省はインターネットの「熱中症予防情報サイト」で、暑さ指数(WBGT)の数値予報を出していますので参考になります。
建設現場で毎朝、現場監督が数値を記入して警報を出しているような事業所もあります。運送会社の倉庫なども見習いましょう。
WBGTとは、人体の熱収支に影響の大きい湿度、輻射熱、気温の3つを取り入れた指標で、熱中症の危険をより的確に予測することができます。
下は、WBGTをもとにした熱中症予防の生活指針(日本生気象学会)です。
●25度未満/注意 激しい運動や重労働時には発生する危険性あり
●25~28度/警戒 運動や激しい作業をする際は定期的に十分に休息を取り入れる。
●28~31度/厳重警戒 外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意する。
●31度以上/危険 高齢者においては安静状態でも熱中症が発生する危険性が大きい。外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する。
【事業用自動車の運行管理者の皆さんへ】
■トラック 安全性優良事業所の申請準備
──申請書類の頒布期間は平成24年6月29日(金)まで
新規申請、更新申請に関わらず、運輸安全マネジメントに対する取組状況の記録など準備が必要。貨物自動車運送事業のGマーク申請の平成23年度における申請受付期間は、7月2日(月)~同7月13日(金)までの2週間、都道府県トラック協会にて受け付ける。──詳しくは、こちらを参照。
■バス 車内事故防止キャンペーンの準備
各地のバス協会では、例年7月にバス車内事故防止キャンペーンを実施します。6月には車内ポスターなどキャンペーンの準備を行うとともに、乗務員教育の徹底をはかりましょう。
【高速バス、貸切バスでは】
●乗客へのシートベルト着用の徹底──「平成20年6月1日からは座席におけるシートベルトの着用が義務化されました」
【一般乗り合いバスでは】
●「バスが停車してから席をお立ちください」「走行中の席の移動は危険です」など、乗客に啓発キャンペーン。
●「お客さまが着席してから発車する」、「車間距離をとり、急な割り込み、車線変更に対処する」──など、ゆとり運転を励行。
1日(金)~
30日(土) |
・全国安全週間準備期間 ──7月1日から1週間実施される安全週間の実効を上げるため、6月は安全活動の総点検を実施します。 ■平成24年度 安全週間スローガン 「ルールを守る安全職場 みんなで目指すゼロ災害」 詳しくは、厚生労働省または中央労働災害防止協会のWEBサイトを参照してください。 ・不正改造車を排除する運動強化月間 ──危険、迷惑な車の不正改造を特に厳しく取り締まる。街頭検査などを実施 |
1日(土) | ・気象記念日──1875年(明治8年)のこの日、 現在の気象庁に当たる東京気象台が創設されました。 |
3日(日)~
9日(土) |
・危険物安全週間 ──消防庁が制定。毎年6月の第2週(日曜日から土曜日までの1週間)、ガソリン等の危険物の自主保安体制の確立を呼びかけている。 平成24年度推進標語 「危険物 めざせ完封 ゼロ災害」──詳しくは(財)全国危険物安全協会のWEBサイトを参照してください |
4日(月) | ・虫歯予防デー |
4日(月)~
22日(金) |
・国土交通省:事故防止対策支援推進事業「社内安全教育の実施」に関する補助精度の交付申請期間 ──窓口は地方の各運輸局、運輸支局(沖縄総合事務局) |
5日(火) |
・世界環境デー(環境の日) ──環境の日にちなむエコライフ・フェア2012は、今年は2日(土)~3日(日)に渋谷区代々木公園で実施されます。 |
6日(水) |
・ワイパーの日──2008年に日本ワイパーブレード連合会が制定。年1回のワイパーの点検・交換を呼びかけている |
6日(水) | ・金星の日面経過──太陽/金星/地球がほぼ一直線状となり、金星が黒い点となって太陽の前を横切っていく姿が全国で観測可能(午前7時10分~午後1時50分頃)。太陽観測メガネが必要。 |
9日(土)~
10日(日) |
・日本交通心理学会/第77回大会(東京) 8日には自動車教習所セミナーを五反田で開催。詳しくは同学会のWEBサイトを参照。 |
10日(日) |
・入梅 |
10日(日) | ・路面電車の日──1995年(平成7年)のこの日、全国の路面電車を持つ自治体が開催した「路面電車サミット」で開催日を記念して制定。「6(路)10(電)」の語呂合わせ。 |
12日(火) |
・6月の製品安全点検日──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っている。 |
15日(金) |
・運行管理者試験の申請期限 ──平成24度第1回試験の申請締切日 ※インターネットによる申込みは6月4日締切り/試験日は8月26日(日) |
16日(土) | ・天気予報記念日──1884年(明治17年)のこの日、日本で最初の天気予報が出されました。 |
17日(日) | ・父の日(6月第3日曜日) |
20日(水)~
22日(金) |
・第48回日本交通科学協議会総会・学術講演会
「少子・高齢化社会に対応した医工連携のあり方」 詳しくは、同協議会のWEBサイトを参照 |
21日(木) |
・夏至 |
6月中旬 |
・平成24年5月末における交通事故発生状況公表(警察庁) ・交通統計(平成23年版)発売/交通事故総合分析センター ・交通安全ファミリー作文コンクールの実施要項の公表 (募集は平成24年7月1日から) |
◆6月の日没時間(国立天文台天文情報センターによる)
1日(金) | 福岡 19:24 | 大阪 19:06 | 東京 18:51 |
15日(金) |
福岡 19:30 |
大阪 19:13 | 東京 18:58 |
30日(土) | 福岡 19:33 | 大阪 19:15 | 東京 19:01 |
夕方が明るくなってきましたが、夏至前後が日没時間のピークです。
6時前には点灯を考えましょう!