長い坂道を走行中、フットブレーキを連続して踏んでいると、ブレーキ装置が過熱して制動力が弱くなったり、まったくブレーキが効かなくなる現象についてはご存じですね。フェード現象またはベーパーロック現象などと呼ばれます。
「自動車学校では習ったけれど、実際には滅多に発生しない」と思ってはいませんか。しかし、坂の多い場所ではこうしたブレーキが効かなくなる現象で交通事故が発生することも珍しくないのです。
つい先週(5月14日)も、静岡県熱海市上宿町の県道で、長い下り坂を走行してきたクレーン付きの4トントラックのブレーキが効かなくなり、路線バスや軽乗用車など車両数台に衝突、道路沿いのクリーニング店に突っ込んで10人が重軽傷を負う大事故に発展しました。
現場はゆるいカーブの下り坂で、トラックは荷台にパワーショベルを積載していました。急な下り坂が箱根から続いている場所で『エンジンブレーキ使用』という標識がいくつも並んでいて、地元では「フットブレーキだけでは危険な坂」と知られていましたが、トラックは広島から来た車で、現場の坂の危険に気づいていなかったようです。
パワーショベルなど重たい荷を積んでいたので、ブレーキにはかなりの負担がかかっていたと思われます。
長い坂では、早め低速ギアに落としてエンジンブレーキや排気ブレーキなどを活用して減速し、フットブレーキは補助的に使うように心がけましょう。また、「長い下り坂注意」「エンジンブレーキを使用!」といった標識には、十分注意しましょう。
(2011.5.21更新)
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