昨日、お話しましたように、交通事故で人を死傷させた場合には「業務上過失致死傷罪」が適用されていましたが、飲酒運転のように悪質な違反によって事故を起こした者には、さらに重い罰則を科すべきではないかという世論の高まりを受け、平成13年に新設されたのが「危険運転致死傷罪」です。
これは、特定の「危険運転」で死傷事故を起こした場合には、故意による犯罪とみなして、他の交通事故よりも厳しい罰則を科すというもので、人を負傷させた場合には、「15年以下の懲役」、人を死亡させた場合には「最長20年の懲役」となっています。
「危険運転致死傷罪」の適用条件である「危険運転」とは、次の5つです。
①アルコールまたは薬物の影響で正常な運転が困難
②進行を制御することが困難な高速度
③進行を制御する技能を有しない
④通行中の人や車に著しく接近し、重大な交通の危険を生じさせる速度で運転
⑤赤信号をことさら無視
「危険運転」の認定については、裁判官によって判断が分かれるなど、いろいろな問題を含んでいます。
先日、京都府亀岡市で起きた通学児童に居眠り運転の車が突っ込んだ事故で、「危険運転致死傷罪」ではなく、「自動車運転過失致死傷罪」にしか問えないことなどから、この「危険運転致死傷罪」の適用条件の見直しの機運も高まってきています。
(2012.6.7更新)
軽い気持ちの不安全な運転行動が、高い事故の代償を生みます
安易な気持ちから生じる不安全な運転行動が、事故を誘発したり大きな過失責任を生じさせることがあります。
本誌は6つの事例について、運転者の過失責任の割合を自分なりに考えて回答する、参加型の教育教材となっていますので、「こんな運転行動が大きな過失責任を生むのだ」といったことをより深く理解することができます。