さる7月9日奈良地裁で、昨年3月に歩行者をはねて死亡させた男性の判決公判が開かれ、男性が難病「網膜色素変性症」で視野が狭くなっていたと認定し、「事故の原因は視野の欠損によるもの」として無罪を言い渡しました。奈良地検は、この判決を不服として控訴しており、現在大阪高裁で審議中です。
この病気は、遺伝子の異常で網膜の働きが失われ、暗い所で物が見えにくくなったり、視野が狭まったりする難病ですが、これ以外にも緑内障など、視野が狭まったりする病気があります。
視野が狭くなったり、部分的に見えなくなったりする病気は、緩やかに進行しますので、本人にはなかなか気づきにくいのでやっかいです。
ですから、何でもないようなところで電信柱に追突する事故を起こしてから、初めて病気に気づいたりすることもあります。
車を運転する者にとっては、視野が狭くなったり部分的に見えなくなった状態で運転することほど、危険なことはありません。
視覚の問題は、本人が気づきにくという面がありますが、暗い所などで少しでも見えにくくなったなと感じたら、眼科など専門医の診断を受けるようにしてください。
死亡事故を起こしてから、視野が狭くなったり、部分的に見えなくなったりする病気だったと気づき、たとえ裁判で無罪になったとしても、亡くなった人はかえってくることはないのですから。
(2012.8.2更新)
軽い気持ちの不安全な運転行動が、高い事故の代償を生みます
安易な気持ちから生じる不安全な運転行動が、事故を誘発したり大きな過失責任を生じさせることがあります。
本誌は6つの事例について、運転者の過失責任の割合を自分なりに考えて回答する、参加型の教育教材となっていますので、「こんな運転行動が大きな過失責任を生むのだ」といったことをより深く理解することができます。