三重県亀山市で2010年11月、大型トレーラをマイクロバスと衝突させて派遣会社員フィリピン人7人を死亡させたなどの罪に問われた大阪府松原市の元運転者(47)に対し、津地裁(川上宏裁判官)は7月20日、禁錮4年(求刑禁錮6年)の判決を言い渡しました。
運転者は一時停止標識を見落として時速60キロで交差点に進入し事故を起こしたものです。
弁護側は「被告の勤務態度は非常にまじめ。前方不注意という偶発的、突発的で単純な過失だった」と執行猶予を求めましたが、多数の死者が出た事実が重く、実刑を受けました。
判決理由で裁判官は「死者7人の重大事故であり、トレーラーを運転していた被告にはより一層の注意義務があったのにも関わらず、一時停止や左右確認などの基本的義務に違反したことは職業運転手として強い非難を受ける」などと述べました。
(2012年7月20日 津地裁判決)
2008年から始まった被害者参加制度を利用し、事故で脳挫傷の重傷を負ったフィリピン人女性や遺族が公判に参加して意見を述べました。
被害者女性は「事故により記憶力低下などの障害が残り、検査や治療のため祖国にも帰れず、不安な日々を過ごしている。事故が私たちの人生を大きく変えてしまった。亡くなった7人の天使たちのために毎日祈っている」と涙を流し精神的苦痛を訴えました。
事故で21歳の長女を亡くした母親(50)は、「今も心が痛い。正義の判決が下されたと思う」と実刑判決を評価しながらも心の傷を打ち明けました。
《事故の概要》
休憩場所を探そうとして一時停止を見落とし、出会い頭衝突
事故は2010年11月28日、三重県亀山市の県道交差点で発生しました。
午前7時45分頃、30t大型トレーラと工場出勤用のマイクロバスが国道からの側道と高架になった県道が交わる交差点で出会い頭衝突し、フィリピン人派遣社員7人(いずれも20代~30代)が死亡、20人が重軽傷を負う大事故が発生しました。
トレーラの運転者が、休憩場所を探そうとしていて周囲に気を取られたため、側道にあった一時停止標示を見落とした「うっかり」ミスによるものですが、現場は側道からの見通しが悪く、出会い頭衝突が以前から頻発している場所でした。