(岡山地裁平成22年7月1日判決)
信号待ちをしていて、わき見運転の車に追突された被害者の女性(症状固定時38歳)が、事故により頚椎捻挫・腰椎捻挫を受傷し、その後、脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)にかかったとして損害賠償を求めた民事訴訟の判決です。
裁判所は、脳脊髄液減少症の発症を認め、被害者の後遺障害逸失利益を29年間にわたり100%とし4158万円、後遺障害慰謝料として2800万円、治療費・入通院慰謝料720万円、休業損害735万円などを認めました。
ただし、脳脊髄液減少症の罹患が長期化・悪化した原因は被害者の性格や意欲などに由来するとして、8割を減額してしています。
脳脊髄液減少症を認めた根拠としては、「未だ暫定的、試行的な性格を有する学会のガイドラインや診断基準などの正当性、合理性があるか否かなどを裁判所が判断するのではない」とことわったうえで、症状が重篤化した過程における病状の経過記録や医師の見解のなかに、脳脊髄液の漏出、減少を認めるものがあったと指摘し、被害者の主張の一部を認めています。
※判決内容は「交通事故民事裁判例集第43巻第4号821~834頁」より引用しました