2012年 12月の運転管理

■危機管理の総点検をしよう

 近年は労働災害が多発し、死傷者数が22─23年と2年連続して前年を上回っています。さらに今年も増加傾向に歯止めがかからず、死者は10.9%増でこのまま推移すると23年を上回る可能性があります。

 年末に向けて交通災害を含めた全般的な安全管理の総チェックをしておきましょう。

 

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 とくに、トラック運送事業では、今年は死亡労働災害が前年比30%増と目立つだけでなく、高速道路での死亡事故が多発傾向にありますので、より一層の管理・指導が必要です(数値は9月末日現在の速報値より)。

管理体制のチェックをしよう

 安全管理体制は万全でしょうか、今一度、チェックしておきましょう。

●統括的な安全管理者や安全運転管理者は、事業所の安全活動の現状を正しく把握していますか?

●職場の交通安全会議、安全衛生会議などは定期的に開かれていますか?

●ヒヤリ・ハット体験の収集などは計画どおり実施されていますか?

●そうした安全情報が、実際の職場で有効に活用されていますか?

●運転者の健康情報を正しくつかんで管理していますか?

相手に適合した指導をしていますか

 日常的な安全指導の実施状況も具体的に検討しましょう。

 朝礼や点呼での指導事項が全社一律ということはないでしょうか?今月の安全目標といったテーマは一律でも構いませんが、点呼時の示達簿に記入する指導内容は、点呼を受ける個々のドライバーによって違ってくるはずです。

 「職場リーダー職であるドライバー」

 「派遣社員・アルバイト職員」

 「経験の浅いドライバー」

 「中高年で健康に不安のあるドライバー」

など指導対象が変われば安全に関する情報・注意事項は違ってきます。

 とくに、年末に向けて新たに雇いれたドライバーや従業員がいる場合は、安全教育を怠らないように配慮しましょう。

 

 また、同じような業務を担当するドライバーの場合でも、下記のような観点で判断し、少しずつ違う内容を考えて、きめ細かい指導をすることが重要です。 

 ●どこへ行くのか(降雪、降雨などの有無)
 ●とんな道路状況を
走行するのか(坂道・山道・生活道路の有無)
 ●気になる癖はないか(最近、左側をこすったことがある等)
 ●走行車両と運転経験の関係(新型車両を担当している等)

季節に応じた健康管理を行なっていますか

 12月は急激に寒気が強まり、インフルエンザなど集団風邪が流行したり、体調不良を訴える人の多い季節です。しかし、一方で年末の繁忙期を迎え「少しくらいので風邪では休めない」と無理をする時期でもあります。

 忙しい時期こそ、健康アドバイス・体調観察に力を入れましょう。

 

 ある運送会社で社内調査をしたところ、実に7割のドライバーに高血圧や高脂血症、生活習慣病などの問題があり、何らかの薬を常用している人が非常に多いということがわかりました。

 服薬している人に対しては、副作用などをチェックし個別に指導していく必要があります。血圧の降圧剤などは、安易に風邪薬と併用するとよくない薬もありますので、医師や薬剤師との相談が必要です。ドライバー個々にどのような健康管理が必要か、調査することから始めましょう。

■重点推進事項

【すべての安全運転管理担当者の皆さんへ】

■「まさかの飲酒運転」を防止しよう

 飲酒運転による死亡事故件数は減少傾向にありますが、一方で公務員や電力会社職員など責任のある立場の人の酒気帯び運転検挙例は後を立ちません。

 

 「まさか、我が社では飲酒運転をするような社員がいるはずない」と思っていると、思わぬ酒気帯び運転で驚くことがあります。

 油断しないで、年末には、再度飲酒運転の根絶指導を強化しましょう。

 「自分は飲酒運転は絶対しない」と考えている従業員であっても、以下のような落とし穴があります。

 !「前夜の酒気残り」による酒気帯び運転
 
!「仮眠後の油断」による酒気帯び運転
 
!「帰宅後のバイクによる買い物」などによる酒気帯び運転

 忘年会など飲酒機会のある会合では、以下の点を指導するように心がけましょう。

運転代行などを途中で帰して運転しないこと

コンビニ、駐車場など車中の仮眠では、酒が抜けたと勘違いしやすく危険 →(目が覚めたとき車の運転ができないところで仮眠する

1単位(日本酒1合)の飲酒でも、4時間はアルコールが抜けないことを強調する

写真は国土交通省資料より
写真は国土交通省資料より

■道路情報を早めに入手

 雪道情報を早めに入手し、スタッドレスタイヤ装備やチェーン搭載などをすすめる時期です。この時期のスリップ事故の7割は、冬用タイヤの未装備によるというデータもあります。

 

 たとえ大きな人身事故にならなくても、雪道でスタックした車が道路を塞ぎ、長時間の通行止めなどが発生することも多くあります。

 まだ早いなどと考えずに、チェーン装着は迷わず行う必要がありますが、トンネル内や坂道での装着は非常に危険であることも指導しておきましょう。

 

 冬道の道路状況入手は、インターネットのライブカメラなども活用してください。

【事業用自動車の運行管理者の皆さんへ】

■年末年始の輸送安全総点検

  国土交通省は毎年、年末の12月10日から翌年1月10日までの1か月間、自動車運送事業者はもちろん、鉄道、船舶を含めた全輸送機関に対して、災害や事故、テロや伝染病の流行などに備えた自主点検等を通じて安全性の向上を呼びかけています。

 

 とくに以下の点を重点的にチェックしましょう。

 安全管理(特に過労運転の防止対策、運転者等に対する指導監督体制)
 ●運行管理の実施状況
 ●関係法令の遵守状況
 ●事故、自然災害等発生時の乗客等の安全確保のための通報・連絡・
  指示体制の整備・構築状況
 ●テロ及び新型インフルエンザの発生に備えた体制の整備状況
 ●中高年運転者の管理状況

■12月の管理ごよみ(2012年)

1日(土)~

31日(月)

大気汚染防止推進月間(環境省)

──例年12月は、自動車交通量の増加、ビルや家庭の暖房ほか、気象条件の影響等により、大気汚染物質の濃度が高くなる傾向にあるため、環境省では、「エコドライブの実践」など、広報活動を通じて大気汚染物質の削減を呼びかける。

(→ 詳しくは同省のWEBサイトを参照)

1日(土)~

1月31日(木)

・陸上貨物運送事業 年末・年始労働災害防止強調運動

──陸上貨物運送事業労働災害防止協会(陸災防)の主唱する労災防止運動(2013年1月31日まで)。今年度のスローガンは、

「リスクアセスメントで作業マニュアル 実行します安全作業」。交通事故はもちろん、荷役作業時における墜落・転落災害防止などを推進。詳しくは陸災防のWEBサイトを参照してください。

1日(土)~

1月15日(火)

・平成24年度 建設業年末年始労働災害防止強調期間

──建設業労働災害防止協会が例年災害の多い年末年始に、積極的な災害防止運動を展開。交通労災としては、マイクロバスなどによる通勤・送迎時の事故が多い点を強調。

スローガン「無事故の歳末 明るい正月」

1日(土)

・二輪車ヘルメット着用義務化

──1978年(昭和53年)のこの日、すべての道路で50cc超の二輪車でのヘルメット着用が義務づけられた。1986年(昭和61年)7月5日には原動機付自転車も義務化。

3日(月) ・個人タクシーの日──東京都で40~50歳で3年間無事故無違反の優良運転手173人に個人タクシーの免許が許可された日を記念して1959年(昭和34年)に制定された。

3日(月)~

9日(

・障害者週間 ──障害や障害のある人に対する国民の関心と理解を深めるとともに、障害のある人の社会参加を促進するため、今年も「障害者フォーラム2012」や「障害者週間連続セミナー」を始め、全国で様々な啓発行事が行われる(9日まで)。

6日(木)

・大雪 

10日(月)~

1月10日(木)

年末年始の輸送等に関する安全総点検(翌年1月10日まで)

──国土交通省が毎年、輸送機関に対して自主点検等を通じた安全性の向上を呼びかける運動。(※詳しくは、同省のWEBサイトを参照してください)

11日(火)

・12月の製品安全点検日

──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っている。

12日(水) ・バッテリーの日──電池工業会が設定。野球のバッテリーの守備位置数字が1、2であることから。(※自動車バッテリーの基礎知識については同会のWEBサイトを参照してください)
15日(土)~


・年末年始無災害運動(2013年1月15日まで)

──厚生労働省の後援のもと中央労働災害防止協会が主唱する運動。今年で42回目を迎える。共通標語:「あせらず 無理せず 油断せず 無事故でつなぐ年末年始」(※詳しくは、中災防のWEBサイトを参照してください)

16日()~

1月15日

年末年始港湾無災害強調期間──港湾貨物運送事業労働災害防止協会による年末年始の事故防止活動。

20日(木)

・道路交通法施行記念日

──1960年(昭和35年)のこの日、道路交通法が施行されたことにちなむ。それまで交通行政は1947年制定の「道路交通取締法」によっていて各都道府県の行政処分基準などにもばらつきがあった。

21日(金)

・冬至
23日( ・天皇誕生日
24日( ・振替休日
25日(火) ・クリスマス
28日(金) ・官庁仕事納め


12月上旬

・平成24年10月までの労働死亡災害発生状況(厚生労働省)

12月中旬 平成24年11月末の交通事故発生状況の発表(警察庁)

 

◆12月の日没時間(国立天文台天文情報センターによる)

1日 (土)

福岡 17:10 大阪 16:47 東京 16:28
15日(土) 福岡 17:12 大阪 16:49 東京 16:29
31日(月) 福岡 17:21 大阪 16:57 東京 16:38

冬至(21日)に向け日は短くなります。西日本でも日没は4時台に。
東日本では3時半、西日本でも4時には点灯しましょう!

ライトの点灯タイムについては 「おもいやりライト」のサイトも参照!

 

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