マイクロメイト岡山㈱では、飲酒が運転や身体能力にどのような影響を与えるかなど、飲酒に関する実験を毎年行っていますが、第7回目にあたる今年の実験にシンク出版編集部の山地が参加させていただきました。
今回の実験は、12月1日(土)の夜から2日(日)の朝にかけて「マイクロメイト岡山」営業本部で行われ、20~62歳の大学生や会社員ら男女15名が参加しました。
実験では、まずしらふの状態で、呼気検査、視野検査、深視力検査、動体視力検査、記憶力検査を行い、その後、自分が飲めると思うだけ酒を飲んで、飲酒終了後に同じ検査を行って各検査値がどのように変化するかを調べました。
また、飲み終えてから8時間経過後にアルコールがどれだけ残っているか、翌朝に呼気検査を行いました。
実験では、ビール、日本酒、焼酎、梅酒、ウィスキー、缶チューハイが用意されており、どの酒も1単位(1単位は純アルコール20g=ビール500mℓ)ずつ飲み干すようにして、最後に何単位を飲んだかがわかるようになっています。
「今日は飲めるだけ飲んでください」ということでしたので、「できるだけ飲むぞ!」と思いながらも、決してお酒には強くないほうなので、自分のペースで飲むことにしました。
他の参加者の方とは初めてお会いしたのですが、皆さん気さくな方でしたので、最初は戸惑いもありましたが、徐々に普段の宴会のような雰囲気で飲ませていただきました。
まず、午後7時2分からビール1単位(500mℓ)を飲みはじめ、7時50分にビール2杯目をおかわり、8時33分に缶チューハイを、9時35分に梅酒ロック、10時28分に梅酒ロック2杯目を飲んで、11時22分に飲み終わりました。
4時間20分かけて5単位のアルコールを飲んだことになります。
それから、30分後に再び視野検査などを行いましたが、私の場合は普段からお酒を飲むとバランス感覚が狂うので、検査を受けること自体が辛かったです。その場では測定結果はわかりませんでしたが、きっと飲酒前に比べると、悪い結果だろうと思います。
また、呼気検査の数値は、呼気1リットルあたり1.46mg/ℓ(0.15mg/ℓ以上で酒気帯び運転違反)という数値が出て、ビックリしました。
検査後のアンケート調査では、「今の気分は?」と尋ねる項目がありましたので、「幸せな気分」と答えて、この日はホテルに帰って寝ました。
一夜明け、眠い目をこすりながら再び会場へ向かいました。飲酒終了から8時間後の午前7時20分に再度呼気検査を実施したところ、呼気1リットルあたり0.27mg/ℓという数値が出ました。これは、完全に酒気帯び運転に該当します。
このときのアンケートでは「この状態で運転しますか」という質問がありましたが、「運転しない」と回答しました。頭はボーっとしているし、胃の調子もよくなくて、明らかに体内にお酒が残っていることを自覚していたからです。
人によっては、「一晩寝たし、もうお酒は抜けただろう」と勘違いをして、体内にはアルコールが残っているのに運転をして、飲酒運転となるケースがあります。その危険性を身をもって感じることができました。
その後、1時間待機し8時20分に再度呼気検査をしたところ、0.17mg/ℓの数値が出ました。9時間経ってもまだアルコールは抜けません。
30分後の8時50分では0.11mg/ℓになり、10時間後の9時20分にようやく0mg/ℓになりました。
今回の実験では、9単位を飲んだ人が最高でした。15名の参加者のうち、翌朝の呼気検査で「酒気帯び運転」とされる呼気1リットルあたり0.15mg/ℓ以上のアルコール分を検出した人は7名いました。
「実験のためにお酒を飲む」というのは初めての体験でした。お酒は普段飲みに行ったときと同じくらいの量を飲みましたが、一晩寝てもしっかりアルコールは残っていたので、「遅くまで飲んだら次の日の朝には運転ができない」ということを実感することができました。
また、この飲酒実験を継続して実施されている、木村憙從会長はじめマイクロメイト岡山㈱の皆様の努力には頭が下がる思いでした。
普段通りお酒を飲めるようにという配慮から、お酒の種類の多さだけではなく、食事も沢山出していただきました。また、被験者が体調を崩した時の備えとしてドクターも待機されているなど、万全の体制で実験を実施されていました。
今回で飲酒実験は7回目ということですが、このような有意義な取り組みが、広く社会に周知され、飲酒運転根絶につながっていくことを期待したいと思います。
なお、今回の詳しい実験データは、来年度の日本交通心理学会で発表される予定です。