2013年3月の運転管理

■事故・違反の反省と分析を徹底しよう

 3月はいよいよ年度末です。今年の安全運転対策や違反・事故の実態を踏まえて、新年度の運転管理、ドライバー指導計画を立てていきましょう。

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・事故の傾向分析が重要です

 交通事故と違反の実態のほか、車両経費や稼働率などもチェックしておく必要があります。

 事故に関しては、損害額が大きい事故や人身事故などに目がいき、軽微な事故や物損事故などが軽視されがちですが、物損事故でも同じようなパターンの事故が起こっていれば、いずれ人身事故に結びつくので、物損事故についてもきちんと分析をしておくことが重要です。

 事故を分析する項目としては

 ・事故原因別

 ・事故形態別

 ・違反別

 ・発生場所別

 ・年齢層別

 ・運転経験別

といったパターンで分類し、事故の特徴的な傾向がないかをチェックしましょう。

 とくに、追突事故などでは、携帯電話の運転中使用によるわき見運転などが関連している場合があります。

 違反の実態がわかることで人身事故につながる危険が明らかになりますので、運転経歴証明書などを自動車安全運転センターに申請しておくことも重要です。

 

 なお、すべての事故を詳細に分析するのは時間と労力が大変ですので、自社にとってとくに回避すべき事故の傾向を判断し、細かい分析をする事故の優先順位をつけていくべきでしょう。

・運行三費を重視しよう

 運送事業者などは、運行三費(=燃料油脂費、修理費、タイヤ費)の削減に苦慮していますが、実はこの三つの費用を検討することで安全運転の管理にも重要な情報が得られます。

 まず、燃費の悪い事業所や部課などがあれば、エコドライブが実践できていないということですから、安全運転の確保にも問題があると推察できます。

 

 修理費に関しては、内容の検討が重要です。軽度の物損や荒い運転による車両こすり傷などが、修理経費として計上されている事業所も少なくないからです。修理費が増加した原因を調査しましょう。一方で、定期点検・整備の徹底をしていることで、メンテナンス費が発生することを評価することです。

 

 また、タイヤ費は車両の経費としては重要です。タイヤの損傷は運転者の生死にも関わりますので経費節減という圧力がかっても軽視はできません。スリップサインの出るような摩耗したタイヤを使用しないように管理を徹底しましょう。

 タイヤの管理を徹底し、空気圧などに配慮することでむしろ燃費が改善する例があります劣化したタイヤを無理に使用することのリスクを訴えましょう。

重点推進項目

【すべての安全運転管理担当者の皆さんへ】

春の全国交通安全運動25年
図は内閣府作成のポスター

・春の全国交通安全運動の準備を!

 来月には、春の全国交通安全運動が実施されます。実施要項が発表されていますので、重点項目を踏まえて自社なりの交通安全運動への参加指針を策定し、運動の資料も配布しておきましょう。
 特に、運動の基本テーマである「子どもと高齢者の交通事故防止」を踏まえて、生活道路などにおける交通弱者の安全確保を徹底する指導を添加しましょう。なお運動の全国重点は以下の3点です。

(1)自転車の安全利用の推進

  (特に、自転車安全利用五則の周知徹底)
(2)全ての座席のシートベルトと

   チャイルドシートの正しい着用の徹底
(3)飲酒運転の根絶

 ※交通安全運動の詳細に関しては → こちらを参照

・自転車通勤の安全対策

 交通安全運動では「自転車の安全利用の推進」も重点項目として強調されています。最近、自転車通勤をする従業員も増えていますが、自転車は車両の一部であり交通ルールを守って走行することが重要であることをアピールしておく必要があります。

 自転車関連の人身事故が多発していることを受け、警察庁は自転車違反者に対する講習など道路交通法の改正案を提出しています。また、自転車の取締り強化の方針も打ち出しています。

 自転車による歩行者事故では、昼間に信号無視をした自転車の男性が横断歩道横断中の歩行者に衝突して死亡させたとして、約5400万円の損害賠償を命じた判決例もあります(東京地裁平成19年4月11日判決)。

 自賠責保険がないだけに車以上のリスクもあると考えて、自転車通勤を無原則には認めないなど、管理・指導の方策を考えましょう。

■新年度の交通安全計画の策定

 平成24年度の交通事故や違反の実態を踏まえて、安全運転目標・交通事故削減目標を立てましょう。

 月別目標については、下記のような年間の各種安全運動などとも呼応した安全活動の計画を立てます。

 

「春/秋の全国交通安全運動(4月・9月)」

「全国安全週間(7 月)」

「夏の事故防止運動(7月)」

「全国労働衛生週間(10月)」

「年末年始事故防止運動 (12~1月)」など

 事故防止活動を強化する期間には、職場にポスターを掲示したり、街頭指導などをする計画も立てておきましょう。

 

 ※こちらから → 安全運転管理計画のサンプルをダウンロードできます。

・安全目標の周知徹底

  新年度の安全方針や安全運転目標・スローガンは、全従業員の目に触れるよう徹底しましょう。

 ・支店、営業所など各事業所壁面での掲示

 ・社内報、社内ネットでの掲載・表示

 ・安全方針などを記載した社員手帳、

  携帯カードの配布

 ・社長等トップが現場巡回時に資料を配布

 ・点呼や朝礼時に全ドライバーで唱和する

 ・車載カード、ワッペンなどの作成──等

事業用自動車の運行管理者の皆さんへ】

わき見運転追突事故

・3月の「指導及び監督のテーマ」

 事業用自動車の運転者に対しては、「指導及び監督の指針」にそった教育を計画的の実施する必要がありますが、3月は運輸安全マネジメントの反省月でもありますので、自社の事故実態や運行実態にあった内容を教育してはいかがでしょうか。

 11項目(バス・タクシーでは10項目)にないテーマでも構いません。

 トラック事業者の場合は追突事故やバック事故などをテーマに選んで指導するケースも少なくありません。バス・タクシーでは、震災記念日にちなんで地震・異常気象など災害時の対応などを教育する例もみられます。


運輸安全マネジメント

・運輸安全マネジメントのチェック

 運輸安全マネジメントに基づく措置として、内部監査(Check)を実施して、新年度の改善実施(Act)に活かすべき時期です。

 ともすれば、現場の担当者に年間の管理・指導報告などを指示していたずらに業務を増やしたり、現場安全パトロールと称して急に現場の安全チェックなどを実施する例がみられますが、あくまでもマネジメントの浸透度合いを客観的にチェックすることが目的ですので、無理な帳尻合わせは無用です。

 運輸安全マネジメントを推進する責任は、経営トップと管理部門にありますので、その実態を検挙に反省しましょう。

 安全指導などの計画が具体的で、そのつど実施度合いの記録などが残っていないと正しいチェックができません。以下のような文書がきちんと記録されるような体制になっていることが理想です。

安全マネジメントの記録類

分 類 概 要
事故に関するもの 事故発生報告書・事故処置報告書
教育・訓練に関するもの 教育訓練実施報告、災害訓練実施記録など
情報共有・伝達に関するもの ヒヤリ・ハット体験情報、会議議事録、安全統括管理者指示書
重要施策の実施に関するもの 安全マネジメントに関わる重要施策の各種資料
内部監査に関するもの 内部監査実施報告書等
輸送安全の出費に関するもの 輸送安全経費一覧表
仕組みの改善に関するもの 見直し会議議事録、予防・是正処置報告書
情報公開に関するもの 公開した文書、統計・ホームページ画面など
法令により必要なもの 運行指示書、車両整備記録、運転前点検表、点呼実施記録簿
基礎データ 保有車両リスト、乗務員名簿、免許証一覧表 等

(NASVA 運輸安全マネジメント講習テキストより抜粋)  

3月の管理ごよみ (2013年)

1日(金)~

7日(木)

・車両火災予防運動(春季全国火災予防運動)

──消防庁と国土交通省の共同主唱。車両交通の関係者や利用者の火災予防意識の高揚と車両火災防止のため、全国火災予防運動とあわせて同期間に実施される(車両火災原因をみると、放火と放火の疑いによる火災が約14%を占めているので、駐車場の管理も重要)。

3日(

雛祭り(桃の節句)/耳の日

3日

・運行管理者試験(平成24年度第2回試験)

──詳細は財団法人運行管理者試験センターのWEBサイトを参照

5日(火)

啓蟄

6日(水) ・平成24年度アルコールシンポジウム 「アルコール問題を考える」──主催:厚生労働省/ 於:東京都内 詳しくは厚生労働省のWEBサイトを参照
7日(木)

・消防記念日──昭和23年の「消防組織法」が施行されたことを記念して設定。全国の消防本部等で消防訓練、記念式典など様々な行事が行われる。

11日(月) ・東日本大震災の日──政府主催の追悼式典のほか、合同追悼式などが被災地などで行われる。震災で亡くなられた方々の慰霊を行い、防災対策を再確認する。
12日(火) ・3月の製品安全点検日──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っている。
14日(木) ・ホワイトデー
20日( ・春分の日
23日(土) ・世界気象デー──1950年のこの日に世界気象機関条約が発効したことを記念して制定されました。
25日(月) ・電気記念日──日本電気協会が1927(昭和2)年9月に制定。1878(明治11)年のこの日、東京虎の門の工部大学校で日本で初めての電灯が灯りました。
31日

・「運転代行業法施行規則の一部改正施行──マグネット表示板を外した運転代行業者の随伴用自動車による白タク行為を防止するため、自家用自動車等を随伴用自動車に使う場合であっても、代行事業者名をペンキ等で車体に表示することが義務づけられます。

詳しくは国土交通省のWEBサイトを参照

   
3月上旬

・「安全衛生標語」の募集──標語の種類は、平成25年度年末年始無災害運動標語、平成26年年間標語──例年、締切りは4月30日(中央労働災害防止協会

3月中旬

・平成24年中の30日以内交通事故死者統計の発表警察庁

平成25年使用の交通安全スローガンポスターデザイン入選作の発表全日本交通安全協会

3月下旬

平成24年12月分 トラック輸送情報国土交通省

 

 ◆3月の日没時間(国立天文台天文情報センターによる)

1日(金) 福岡 18:15 大阪 17:54 東京 17:36
15日(金) 福岡 18:26 大阪 18:06 東京 17:48
31日(日) 福岡 18:38 大阪 18:18 東京 18:01

5時半~6時半に日没です。
まだ明るいと思っても、5時には点灯をしましょう!

「おもいやりライト」のWEBサイトも参照してください。

今日の安全スローガン
今日の朝礼話題

12月23日(月)

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