■事故防止のための具体的指針
事業用自動車の運行の安全を確保するため、国土交通省は平成13年8月に、トラック運送事業者向けの告示として「貨物自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針」を示しました(国土交通省告示1366号/平成21年10月一部改正※)。
また、同年12月には、バス、ハイヤー・タクシー事業者を対象として「旅客自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う指導及び監督の指針」(国土交通省告示1676号/平成21年10月一部改正)を示しました。
【改正概要】
※貨物自動車運転者の指導・監督指針:
2018年(平成30年)6月1日に改正、同日施行 詳しくは → こちらを参照、
2016年(平成28年)4月に改正、2017年(平成29年)3月施行 詳しくは → こちらを参照、
※旅客自動車運転者の指導・監督指針:
2018年(平成30年)6月1日に改正、同日施行 詳しくは → こちらを参照、
2016年(平成28年)11月に改正、同年12月に施行 詳しくは → こちらを参照、
(一部は2017年12月に施行されました)
■事業用自動車への監査でも、指導・監督を重視
これらの告示は、運転者を管理する立場にある自動車運送事業者ならびに事業所において選任された運行管理者が、安全を確保するために必要な運転に関する技能及び知識を習得させることを目的として、運転者への継続的かつ計画的な指導・監督を行うことを求めたものです。
事業所のなかで、こうした指導・監督が順調に行われていれば問題はありませんが、中小運送事業者にとっては、ドライバー教育のための専従的な人材を育成するのは難しく、なかなか計画的・継続的に指導を実施できない事業所が少なくないのも現状です。
適正化実施機関による巡回指導においても、「指導・監督の実態」は重要な改善ポイントの一つと言われています。また、地方運輸局の監査などでも、厳しくチェックされる事項となっています。
■指導・監督の項目にそった教育を実施する
自社なりに「安全運転指導をしている」と考えている事業所でも、指導・監督の指針を無視して教育をしていたり、指導した記録を取っていない場合は、運輸支局などの担当官に計画的・継続的な指導をしていないと見なされることがあります。
管理者が口頭で乗務員への指導を実施していた事業所でも、安全指導などの計画書類と教育記録が保存されていなかったため、人身事故に巻き込まれたことを理由に監査を受けた際に、指導・監督の不備による処分を受けた例があります。
記録がないと、監督官庁の担当者も教育の実態を判断できないからです。
毎年、指針の項目にそった教育計画を立て、安全教育の記録用紙なども整備し、用紙には教育を受けたドライバーの署名をさせて営業所で保存しましょう (指導・監督の実施内容の記録は営業所で3年間保存することが義務づけられています)。
※乗務員教育記録用紙は「運行管理者のためのドライバー教育ツール」より
平成29年3月12日に施行される「貨物自動車運転者への指導及び監督の指針」の12項目に基づいて構成されています。part1・2同様にイラストで図解されたわかりやすい教材です。
すぐに現場で使用でき、乗務員指導記録用紙も添付されていますので、指導・監督の記録としての保存に最適です。
平成25年に改正された自動車運送事業に対する監査方針・処分基準の強化に基づいた、「貨物運送事業の危機管理術」を好評発売中です。ご希望の方は、こちらを参照してください。
トラック運送事業の経営者、運行管理者に必要な情報を厳選して収録しました。