最近、全国の鉄道踏切で車の立入り事故や列車との衝突事故が相次いでいます。
踏切事故は大きな人身事故となり、列車を止めることで損害も大きくなりがちですので、この機会に踏切通過時の安全運転を再確認しておきましょう。
最近の事故を教訓に踏切事故防止のポイントをまとめてみましたので、参考にしてください。
遮断機が誤って上がってしまうこともある
車は踏切手前で停止することが義務づけられています。いきなり線路上に入るのを防ぎ、安全確認をするためです。
しかし、踏切の遮断機が上がると、もう列車は来ないという意識になりがちのため一旦停止も安全確認もしないで通過する車を見かけますが、これは大変に危険です。遮断機を制御するシステムが故障して、遮断機が上がった後に列車がやってくることもあるからです。
実際に、遮断機の故障のため、あわや大事故になりかけたケースがありました。踏切の遮断機が上がっているときも、必ず一旦停止して、自分の目と耳で列車が来ていないか確認しましょう。
①前方が詰まっていたら踏切には入らない
踏切の先が渋滞して詰まっていたり、踏切のすぐ先に信号交差点があって前車が待っているような場所では、踏切の中に入ると動きがとれなくなる恐れがあります。
警報機が鳴っていなくても踏切には入らずに、自車が入れるスペースがあくまで待ちましょう。
②踏切内でギアチェンジはしない
踏切通過時にギアチェンジ(クラッチ操作)をしたために、エンストして立ち往生し電車と衝突した事例があります。MT車の踏切内における変速操作は危険ですのでやめましょう。また、AT車でも、下り坂で誤ってRレバーなどに入れるとエンジン停止を起こすことがないとは言えませんので、踏切通過前には無用な操作をしないことが大切です。
③スリップしそうな踏切では、かなり手前でいったん止まる
雪道や凍結した道路を走行中に踏切へ差し掛かった時は、スリップして踏切内へ進入したりスピンして脱輪する危険を予測しましょう。踏切の直前でブレーキを踏んで止まる運転は避け、踏切のかなり手前で停止できるように減速し、ソロソロと踏切に近づくようにしてください。
迷わずに非常ボタンを押そう!
もし、踏切でエンスト・脱輪などのため動けなくなった場合は、警報機がまだ鳴っていないときでも、ためらわずに非常ボタンを押して列車に知らせましょう。また、非常ボタンを押した後は踏切から離れた安全な場所に移動し、絶対に踏切内に戻らないことが大切です。
非常ボタンのない踏切では、自車に備えつけられた発炎筒を使って列車に危険を知らせます。
遮断棒は跳ね上がる!
踏切に入ったときに、もし遮断機の棒が降りてきても慌てずに、跳ね上げて脱出しましょう。棒は折れずに斜め上に跳ね上がります。また、自車線の先が詰まっていれば対向車線に逃げるという方法もあります。
2万ボルトの高圧電線
電化された線路の踏切では、架線を守るため必ず高さ制限があります。表示(制限高4.5m)を超える車は、絶対に踏切には進入しないでください。
「自車の車高は 3.8m以下だから大丈夫」と思っていても、実はダンプが荷台を跳ねあげたまま走行していたり、クレーンのついたトラックがアームを下げ忘れて走行していて、架線事故を起こす危険がありますので、注意しましょう。
電車の架線は2万ボルトの高圧電線ですから、触れると感電事故を起こす恐れがあり、架線やケーブルを切った場合は長時間列車がストップします。
踏切手前の標識を確認していますか?
高さ以外にも、踏切の幅や道路線形の都合で通行が制限されている踏切があります。
踏切手前の標識には十分に注意を払いましょう。
・大型貨物、大型バスの通行禁止踏切
・踏切通過直後の右左折等を禁止
・原付、二輪以外の自動車の通行禁止
踏切の手前で停止しなかったり、遮
断機の降りた踏切に立ち入った場合は
道路交通法違反で反則金、違反点数を
科せられます。場合によっては罰則が
適用されます。
踏切に立ち入ったことで、列車や電
車が危険になり運行を阻害したり、衝
突横転事故等を起こした場合は、刑法
の「過失往来危険罪」が適用されます。
踏切の施設を破壊したり、鉄道車両
や線路、電線・情報ケーブルなどを損
壊した場合は器物損壊の罪に問われ、
鉄道会社からは、損害賠償を請求され
ます。
列車の乗員乗客などが死傷した場合
は、交通事故の不法行為責任として、
「自動車運転過失致死傷罪」が適用さ
れます。多数の死傷者が出る可能性が
あり、罰則の適用も厳しくなります。