皆さんは大型トレーラの前後を走行するとき、どんなことに注意しますか?
死角が広がり前方が見えにくいので、追い越したり、隣車線に移って走行したいと思うかもしれませんが、後ろのトレーラ荷台部分が大きくスイングする危険に気をつけましょう。
というのは、大型トレーラは普通のトラックと違って、前後の車両をキングピンという金具で連結しているだけなので、前部のトラクタ部分が進路変更などをしたとき後部のトレーラ荷台部分が一緒に動くのではなく、遅れて動きます。
さらに、トレーラ運転者のハンドル操作が性急な場合は、荷台が振り子のように横にスイングすることもあります。また、トレーラブレーキなどを不用意に操作したときもスイング現象が起こります。
このため、隣車線にいた後続車がスイングしたトレーラに当たったり、トレーラが進入路からバイパスなどに合流するときにも、遅れて本線に入っていく荷台が後続車に当たる危険があります。
また、対向車線に荷台がはみ出して対向車と接触する事故が起こる可能性もあります。
去る3月15日にも、東京都大田区の国道15号で左側車線から中央寄り車線に進路変更したトレーラの荷台部分が対向車線側にはみ出し、対向してきた軽ワゴン車と衝突、軽の運転者が死亡する事故※が発生しています(上図参照)。
対向車線からトレーラの荷台がはみ出してくることは、なかなか予測できないかもしれませんが、おかしな動きを感じたら警戒するようにしてください。
また、斜め前をトレーラが走行しているときには、急いで追い抜かないで、進路変更の動きがないかを確認しましょう。
トレーラを運転する方は、前後左右の車との距離が十分にあることを確認し、慎重な運転操作を心がけてください。
(シンク出版株式会社 2013.03.25更新)
※ この事故を起こしたトレーラは、その後の調べで、割込みによるスイング現象を起こしたことがわかりました。
先行された前車に腹を立て、追いかけたすえに急ハンドルで前方に割り込んで「嫌がらせ」をするため急ブレーキを踏んだことがスイングの原因でした。
詳しくはこちらも参照してください。
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