先日、後方から強いクラクションの音が聞こえ、驚いてミラーを確認したところ、自転車が路地から飛び出してきたので後続車のドライバーが鳴らしたものでした。自転車のおばさんは涼しい顔をして行ってしまい、ドライバーの舌打ちが聞こえたような気がしました。
こんなときクラクションを鳴らすのは仕方ないと思いますが、最近はクラクションの音を聞く機会が減ってきました。クラクションに苛立ったドライバーに殺されるような事件も少なくないので、日本では多くの人がクラクションの使用を控える傾向にあると思います。しかし、自転車が急に自車の前に進路変更してくるような場面では、鳴らしておかないと事故が防げないこともあります。
たとえば、路肩走行の自転車が右へ急な進路変更をする危険を予測せずに、乗用車が追い抜こうとして自転車と衝突し、重傷事故が発生した事故事例があります。
この事故の民事訴訟では、過失割合認定の際に裁判官が「追越しの際に安全な距離をとるとともに、警笛などで注意喚起をして安全を確保してから追越すべきだったのにこれを怠った過失がある」として、運転者の過失割合を7割とする理由の一つに「クラクションの不使用」を挙げています。
「警笛ならせ」などの標識もないのに無闇にクラクションを鳴らすことは道路交通法で禁止されており、必要があっても強いクラクションの音を出すことには慎重になるべきですが、自転車の危険な行動から身を守るときなどには、ぜひクラクションも選択肢の一つとしてください。
(シンク出版株式会社 2013.6.19更新)
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