2013年 10月の運転管理

心身の健康管理が安全運転確保の第一歩

 最近、ドライバーの健康問題に起因する交通事故が多発しています。今年6月に改正された道路交通法でも、一定の疾病による症状の影響を防ぐための措置が盛り込まれ、今後は、免許更新時・免許取得時に症状の有無について申告することが義務づけられます。

 10月1日から始まる全国労働衛生週間の機会に、「運転と健康」の重要性について指導するとともに「健康管理」を強化しましょう。

  心身の健康を保つことが安全運転の基本条件となります。

 

■重点推進項目へ   ■管理ごよみへ

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■受動的でなく「能動的な健康管理」を
 厚生労働省の呼びかける労働衛生週間における重点取組み事項のなかでも、とくに運転者について注意すべき点は以下のような項目です。


・健康診断の実施強化と診断結果に基づく医師・保健師による健康指導
・メンタルヘルス対策の推進
・過重労働による健康障害防止──長時間運転、夜間運転の管理・指導
・雇入れ時の安全教育・危険有害業務従事者に対する特別教育の実施
・職場における腰痛予防対策の推進

 運転者からの相談を待っていたり、運転中の発作などがあって初めて問題に気づくようでは手遅れです。健康診断結果等をファイルに入れて保存するだけでなく、「見える化」を図りましょう。毎日管理者が目にする書類に健康問題の有無を明記する欄を設けておくことです。


 たとえば「乗務員点呼簿」や「運転者台帳」などの書類には、健康問題に注意すべきドライバーがいれば「高血圧・毎日服薬が必要」「糖尿病・血糖値の管理を注意する」などと明記しておき、点呼や朝礼の機会などをとらえて、ときどき健康面での自己診断シートを配ってチェックするなど配慮しましょう。

■メンタルヘルスの管理・指導を
 長時間運転による過労や職場でのストレスなどが起因して、ドライバーがうつ状態や心身症を発症するケースがあり、実際に労災認定された例もあります。
 また、交通事故を頻繁に起こす運転者について産業医が診察したところ、うつ病を発症していることがわかった事例もあります(厚生労働省資料)。

 これとは逆に、交通事故の被害者や加害者となったことが原因の一つとなって、うつ病などの精神症状が出る場合もあります。

 うつ状態や心身症は、症状だけでなく服薬した薬の副作用が運転に影響を与える危険性もありますので、プライバシーに配慮しながら管理・指導しましょう。

●抗うつ薬使用により交通事故の危険が34%増加
 ──フランス
医薬品安全庁が警鐘を鳴らす
 フランスの医薬品安全庁(ANSM:the National Agency for the Safety of Medicines)は、抗うつ薬を使用して運転すると交通事故を起こす危険が高まるとして注意を呼びかけています。
 ANSMでは、医療保険・警察報告・交通事故のデータベースを検討した研究を根拠にしています。
 研究によると、交通事故を起こしたドライバーのうち4%*で少なくとも1種類以上の抗うつ薬が処方されていて、抗うつ薬を使用すると交通事故のリスクは34%増加するということです(*2,936人/
72,685人)。
 また、抗うつ薬の治療開始直後の危険は49%増、治療の変更時でも32%の危険性の増加がありました
ANSM 2012.08.29)。

 

 

【関連記事】

・ 事故に結びつく健康リスクを意識しよう②──薬の副作用による危険

■雇入れ時の安全教育・労働衛生教育の徹底
 新規に雇い入れた運転者に対しては、職場における安全衛生教育を実施しましょう。


 また、深夜労働に従事する運転者やフォークリフト・クレーン作業を含む運転者、危険な化学薬品などを扱う運転者には、「危険有害業務従事者に対する特別教育」の実施が義務づけられています(労働安全衛生法第60条の2第2項)。

 

 自社の業務が、このような特別教育に該当する可能性のある事業所では、労働基準監督署などと連絡をとって、必要な教育を実施しましょう

■重点推進項目

【すべての安全運転管理担当者の皆さんへ】

■視認性の悪化を意識させ、薄暮・夜間事故の防止を徹底しよう

 薄暮から夜間の早い時間帯にかけては、歩行者事故が多発します。この時間帯は道路を横断する歩行者が増える一方、急速に視認性が悪化することが影響しています。

 おもいやりライト運動事務局」が行った『夕暮れ時の視認性について』の実験によると、黒っぽい色の服装は、日没15分前くらいから、急速に見えにくくなることがわかりました。一方、白・黄色などの服装は、日没時でもある程度見えやすさが確保されますが、日没前からライトを点灯することで、格段に発見しやすくなります。

 夕刻からの視認性悪化を指導し、早めのライト点灯の習慣をつけさせましょう。

 

 写真は、おもいやりライト運動事務局のホームページより

 

【事業用自動車の運行管理者の皆さんへ】

■貸切バスには全事業者に安全管理規程の届出を義務づけ

 平成25年10月1日から、バス事業者に対して、運輸安全マネジメントに関係する安全管理規程の届出等の義務づけ対象が拡大されます。

 従来は200両以上のバス車両を有する事業者のみに義務づけられていた安全管理規程の届出等が、台数に関わらず以下の事業者にも義務づけられます。

 

・貸切バス事業 全ての事業者に対象拡大
・乗合バス事業(貸切委託運行の許可を得ているもの) 全ての事業者に対象拡大

 

  ・乗合バス事業 (上記を除くもの)及び特定旅客事業は従来どおり

   →  乗合バス及び特定旅客の事業用自動車を

      合計200両以上所有している事業者が対象

(※旅客自動車運送事業運輸規則第47条の2─第1項改正 2013.8.23公布)

 

 新たに義務づけ対象となった事業者は、10月1日から平成26年1月6日までの間に、安全管理規程及び安全統括管理者選任の届出を管轄運輸支局に提出する必要があります。

 ※詳しくは国土交通省のWEBサイトを参照してください。

 

■街頭監査がスタート

 主に、バス事業を中心として、10月1日より国土交通省(地方運輸局)による街頭監査がスタートします。

 バス発着場などに監査の係員が出向いて、直接、バス利用者や運転者に対して調査を行い、交替運転者の配置や運転者の酒気帯び・過労などの有無をチェックします。 → 詳しくは国土交通省のWEBサイトを参照してください。

 

■悪質な事業所は適正化機関から運輸局へ即通報!

 トラック運送事業に関しては、適正化事業実施期間(トラック協会)が国土交通省に悪質な事業者を即時報告する仕組みが整備され、連携の枠組みが強化されました。

 平成25年10月1日から、この速報制度が施行されます。

 

 適正化実施期間が事業者に対して巡回指導や改善指導を行った結果、悪質性の高い営業所については国に報告され、優先的に監査を受けることになります。

 

 たとえば、「点呼が全く未実施」などとされ指導された事業所、「整備管理者や運行管理者が未選任」と確認された事業所は即通報の対象となります。

 また、「輸送の安全確保について非常に悪い(E評価)」とされた事業所などは3か月以内に改善措置を報告しない場合は定期的に通報され、優先的な監査対象となります。

 処分・監査方針も今秋大幅に強化されますので、適正化機関に通報されるような企業では、今後、事業停止に追い込まれる営業所が大幅に増えるのではないかとみられています。

 

以下のような点が思い当たる事業所は早急に対策をとりましょう。

運転者に対する点呼の記録を示すものが全くない

(点呼記録簿がない、点呼時の指導資料がない)

指導・監督の実績を示すものが全くない

(指導の計画表がない、指導・監督に使用した資料がない)

3か月定期点検をしていない。定期点検記録簿が保存されていない
4台に減車したあと、営業所の運行管理者を選任していない

 

国土交通省のリーフレット
国土交通省のリーフレット

■10月の管理ごよみ(2013年/平成25年)

 日  付   行 事 等

1日(火)~

日(

・全国労働衛生週間──平成24年度スローガン

 「健康管理 進める 広げる 職場から
──詳しくは厚生労働省中災防のWEBサイトを参照

1日(火)~

日(

・法の日(10月1日)/「法の日」週間──法を尊重し、法によって基本的人権を擁護し社会秩序を確立することを目的として昭和35年に制定されました。無料法律相談など各種の行事が実施されます。

9月~10月

31日(木)

自動車点検整備推進運動強化月間── 毎年9月、10月の2ヶ月間、国土交通省は点検・整備の重要性を呼びかけています。
──詳しくは国土交通省のWEBサイト全日本トラック協会のWEBサイトなどを参照。

7日(月)

・盗難防止の日──(一社)日本損害保険協会が提唱。「盗(10)難(7)」からの語呂合わせで車両盗難や車上ねらい、住宅侵入盗などに対する防止策を呼びかけています。

8日(火)

・寒露

8日(火)

10月の製品安全点検日──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っています。

9日(水)

トラックの日──「トラック」の「ト(10)」と「ク(9)」を取って制定。各地のトラック協会でトラック輸送への理解を深め安全を推進する各種行事を開催しています。

10日(木)

・目の愛護デー

11日(金)

安全、安心なまちづくりの日/全国地域安全運動(毎年10月11日~20日)──地域社会における防犯活動の推進に向けた啓発活動を行います。

12日(土)

・石油機器点検の日──10月12日(とうユでいいふユ)のごろあわせ。石油機器の点検をしておきましょう。

13日(

・国際防災の日──国際連合が制定。各地の自治体でも防災指導のイベントなどが実施されます。

14日(

体育の日

17日(木)~

23日(水)

・薬と健康の週間──医薬品を正しく使用することの大切さを訴える週間。薬の副作用や運転への影響などの知識を持ち、正しく服用しましょう。

21日(

・あかりの日──トーマス・エジソンが世界で初めて白熱電球を発明したことにちなんで制定されました。 

23日(

・霜降

23日()~

29日(火)

高圧ガス保安活動促進週間──経済産業省などが高圧ガスの保安活動の促進を呼びかけます。

 今年の標語「危険性 感じて高める 現場力」。

 高圧ガス保管者は、点検・確認を徹底して高圧ガスによる災害を防ぎましょう。運送事業者は、タンクローリー、バラ積みトラック等における高圧ガス移動時の保安対策を進めましょう。

26日(土)~

27日(

・第45回全国トラックドライバー・コンテスト──主催:全日本トラック協会於:自動車安全運転センター 安全運転中央研修所

30日

第17回交通大学 

 ──健全で安心できる交通環境の構築を目指して

 於:アークホテル岡山(岡山市北区)

 詳しくは、主催者のWEBサイトをご参照ください。

30日)~

11月1日

・第72回全国産業安全衛生大会(大阪)

──主催:中央労働災害防止協会/詳しくはこちらを参照
………………

……………………………………………………………………… 

10月中旬

・平成25年9月末における交通事故発生状況公表(警察庁)

10月下旬

・平成25年9月末の労働災害速報陸上貨物運送事業労働災害防止協会

 

 

◆10月の日没時間(国立天文台天文情報センターによる)

1日 (火)

福岡 18:03 大阪 17:43 東京 17:25
15日(火) 福岡 17:45 大阪 17:24 東京 17:06
31日(木) 福岡 17:28 大阪 17:06 東京 16:47

10月の日没時間はどんどん早くなっています。
夕方はすぐ暗くなりますので、早めの点灯を心がけましょう!

  早めの点灯運動については「おもいやりライト」も参照して
ください。こちらのサイトでは、日没30分前の時間を目安に、
日本各地の9エリアに分けて点灯時間を呼びかけています。

★「おもいやりライト」=早めの点灯=
  運動に取り組みましょう!

 「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯を ドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。横浜の運動事務局の呼びかけに呼応して全国で点灯活動を展開する動きが出ています。

 ※詳しくはおもいやりライトのサイトを参照してください

 
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