仲間うちなどでマイクロバスを借りて小旅行を楽しむグループも多いと思います。会社の経費などでレンタカーを借りて、無料で運行する分には問題ありませんが、乗る人からお金を徴収している場合は白バス運行に該当しますから注意しましょう。
会費、お礼などと称して集金していても、運賃として徴収していると判断されると違反になります。実際に道路運送法違反で逮捕されたり、書類送検された事例があります。
■事例1■
マイクロバス転落事故の運転者が
「白バス運行」で再逮捕
平成25年8月、長野県木島平村で、写真愛好家グループのマイクロバスが運転者がわき見運転をしたため崖下に転落し、12人が死傷する事故が発生しました。
運転者は、自動車運転過失致死傷罪(※)の疑いで逮捕されていましたが、去る9月10日に、「無許可で収益を得るためにバスを運行した」白バス運行容疑で、長野県警察本部に再逮捕されました(道路運送法違反)。
この運転者(64歳)は、数年前から会費を徴収してグループの撮影旅行を企画していましたが、今回も11人の参加費を合計10万円近く集めていたものの、バスのレンタル代や高速料金、燃料費などの実費は 5~6万円であり、差額は運転者の利益となっていました。
これが無許可のバス営業と見なされ、逮捕されたものです。
※「自動車運転過失致死傷罪」に関しては、平成25年11月11日に長野地裁で
有罪判決──懲役3年(執行猶予5年)。
■事例2■
サッカークラブによる観客輸送を
白バス運行として書類送検
平成25年7月1日、鳥取県警察本部米子警察署は米子市のサッカークラブ(J2)と営業課長の女性(36歳)を無許可で自家用車による有償運行をしたという容疑で書類送検しました。
このサッカークラブでは平成25年2月24日、米子市の臨時駐車場と試合会場の間にシャトルバスを走らせ観客を輸送しました。
練習試合であったため無料イベントとして企画したものの、「募金」名目で往路復路とも各100円のバス運賃を徴収したため、無許可の有償バス運行の疑いがあると見なされたものです。
※事例2のサッカークラブは結果として、鳥取地検から起訴猶予になりました。
「本来なら試合そのものの観戦料として徴収すべきところを募金としてバス運賃にあてた経緯があり、常習性もなく、募金を全額寄付するなど反省していること」を勘案したものですが、クラブにとっては大きなイメージダウンとなりました。
■バス運行で料金を徴収できるのは
許可を受けた業者のみ
イベントを企画した当事者が、お礼、会費、協力費などの名目でお金をもらうと、それがバス運賃であることに気づかない場合もあります。
しかし、青ナンバーの旅客自動車運送事業者や公共目的の自家用有償旅客運送に登録しているNPO団体などの場合を除き、無許可で有償のバス運行をすることは法律で禁じられていますので注意しましょう。
イベント参加経費としての徴収を明確にして、運行費は無料とすべきです。
また、自家用トラックなどで、許可を受けずに有償で荷物を積む行為も禁じられていますので、注意しましょう。
■【無許可バス営業の禁止】 ──道路運送法第4条
一般旅客自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければならない。
■【自家用バス有償運行の禁止】──道路運送法 第78条
自家用自動車(事業用自動車以外の自動車をいう)は、次に掲げる場合を除き、有償で運送の用に供してはならない。
1.災害のため緊急を要するとき。
2.市町村などが、国土交通大臣の行う登録を受けて「自家用有償旅客運送」を行うとき。
3.公共の福祉を確保するためやむを得ない場合において、国土交通大臣の許可を受けて地域又は期間を限定して運送の用に供するとき。
■【第4条違反の罰則】──道路運送法 第96条
3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
■【第78条違反の罰則】──道路運送法 第97条
1年以下の懲役若しくは150万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
■【行政処分】──道路運送法 第81条
国土交通大臣は、自家用自動車を使用する者が次の各号のいずれかに該当するときは、6月以内の期間を定めて自家用自動車の使用を制限、又は禁止することができる。
1.許可を受けずに自家用自動車を使用して旅客自動車運送事業を経営したとき。
2.許可を受けず届出をしないで、自家用自動車を使用して貨物自動車運送事業を経営したとき。
3.有償で自家用自動車を運送の用に供したとき
4.許可を受けないで、有償で自家用自動車を貸し渡したとき