夜間の人身事故で、最近多発しているのは四輪車と高齢歩行者の交通事故です。
高齢者に関しては、走行車両に対する認知ミスや横断速度の遅さ、横断歩道以外の危険場所を横断、横断開始タイミングの判断ミスなど、さまざまな要因が考えられます。
とくに高齢者の危険な横断が関係した以下のような事故パターンが指摘されていますので、頭に入れておきましょう。
高齢者が夜間に死亡事故にあうパターンの上位2つは、
1 単路で横断歩道以外の場所を横断中(横断後半)
2 無信号交差点で横断歩道以外の場所を横断中
の事故です(交通事故総合分析センター/ITARDA調べ)
下図は、直線単路の横断歩道以外の場所を横断していて、横断の後半に左から来た車にはねられるケースです。ドライバーの側からみると右から横断してきた高齢者と衝突するパターンです。
財団法人交通事故総合分析センター(ITARDA)は、このような夜間時衝突事故パターンの要因を以下のように分析しています。
【高齢歩行者側の要因】
・遠方の車の速度や距離感覚を見誤りやすい。
・高齢者から見て右から来た車であれば85m程度の距離にきたとき横断を
開始しても道路中央まで行けるので、はねられない(時速60キロの場合)。
・左から来た車の場合、130m以上距離が離れたタイミングで横断開始し
ても、横断後半で車に出会ってしまう。
【運転者側の要因】
・対向車線や中央分離帯が気になり歩行者の横断開始がわかりにくい。
・街路灯の光や車のライトが道路右側まで届かず、発見しにくい。
夜間は対向車が通過した直後など、ライトをすぐ上向きに戻して対向車線の暗がりにも目を向け、右からの横断者に注意しましょう。
※「交通安全教育に役立つ高齢歩行者事故の分析」(交通事故総合分析センター/平成23年3月)
の図を参考に編集部にて作図しました。
次は、高齢者が無信号交差点で横断歩道以外の場所を横断して、右左折してきた車に跳ねられるパターンです(下図を参照してください)。
横断歩道以外の場所を斜め横断などする高齢者が少なくありません。足腰が衰えて歩くのが大変になっているので、最短距離を歩く癖がついているようです。
昼間でもこのような横断は危険ですが、ドライバーが発見してヒヤリ・ハットですむケースも多いと思われます。
しかし、夜間・薄暮には横断歩道以外の場所が暗いので、車のドライバーが横断する高齢者に気づかないで衝突することになります。
財団法人交通事故総合分析センターの分析では以下のような要因が指摘されています。
【高齢歩行者側の要因】
・横断を始めた時には走行車両はいなかった
・前方や足下が気になり、横断後半になって左側を再度確認していない
【運転者側の要因】
・夜間は右からの横断者が発見しにくい
・照明が横断歩道に集中し、その先は見えにくい
・横断歩道上に歩行者がいるかどうかが気になり他の横断を予測していない
交差点を右左折した直後は、横断歩道を無事通過してもホっと気を抜かないで、その先に横断歩行者がいないか注意してください。
※「交通安全教育に役立つ高齢歩行者事故の分析」(交通事故総合分析センター/平成23年3月)
の図を参考に編集部にて作図しました。