夜間事故の危険が増加する条件として、天候の悪化が重要な要素となります。雨の夜は、道路標示が見えにくく横断歩道などでの事故が増加します。また、夜半に気温が急激に下がると、雨水や溶けた雪が凍結する恐れもあります。
今回は、降雨時や降雪時における夜間の危険についてまとめてみました。
雨の日の夜、歩行者にとって横断歩道が非常に危険な場所となります。これは道路標示のペイントが濡れて判別できにくくなり、横断歩道の存在が見落とされやすいからです。
暗い歩道から横断を始める歩行者も雨の日は普段以上に見えにくくなるのでドライバーは見落としがちとなります。さらに、濡れた路面は停止距離が延びるので発見後の回避が難しくなります。
茨城県警察本部が行った過去5年間の調査では、雨天時の昼夜別歩行者死亡事故は昼間が11%、夜間が89%と圧倒的に夜の事故が占めていて、その多くが道路横断中でした。
歩行者は夜間でも、横断歩道なら安全だと思って横断するのにもかかわらず、車に見落とされて、はねられ死亡する例が少なくないのです。
夜間は自転車の見落としが増えます。無灯火で走行する自転車が多く、発見しにくいからです。
さらに、雨の夜間は傘をさして走行する自転車が危険です。自転車利用者は顔に雨が当たるのを防ぐために前方に傘をかざすことがあり、下を向いて走行していることもあります。
傘をさした自転車が交差点などから飛び出してくる危険のほか、自車が右左折するとき、横断歩道付近を走行している傘さし自転車を見落とす恐れもあります。
【事故事例】雨の夜間、右折先を横断してきた自転車に衝突
夜中の0時50分ごろ、土砂降りの雨が降る中、普通乗用車が幹線道路の信号交差点中央付近で右折待ちしていました。対向車が途切れたため発進したところ、右折先の自転車横断帯を無灯火で傘を差した自転車が直進して来ており、急ブレーキをかけたものの間に合わず衝突し、自転車の青年が重傷を負いました。
この事故では、自転車が無灯火で傘をさして走行していた過失はありましたが、雨により視界の悪い状況で自転車横断帯への注意を怠った運転者側の過失を重く見て、
運転者側の過失 90%
自転車側の過失 10%
と認定され、1500万円近くの損害賠償責任が発生しています。
(東京地裁 平成22年6月3日判決)
※「軽く考えていませんか?自転車事故!」(シンク出版刊より)
夜間に事故が増える要因としては、急激な気温の低下も考えておく必要があります。夕刻からの降雪のため帰社・帰宅時などのスリップ事故が増加するだけでなく、凍結の危険も大きくなります。
雪ではなく、雨天の場合でも凍結に気をつける必要があります。
気温低下時は以下のポイントに注意をしましょう。
●日没前後に気温が0℃を下回ったら、雨水や融けていた雪の凍結を警戒
●交差点手前、踏切手前、坂道の信号など、車の発進・停止の多い場所は、
残った雪などが夜に凍結する
●橋梁の上、日陰部分、トンネル出入口、切り通しなどでは、他の路面が
通常の状態でも夜間は凍結を警戒する