業務の内容によって、フォークリフトを使用することが必須である会社も多いと思います。そして、フォークリフトは比較的簡単に操作できる機械であるともいえます。
だからこそ会社としては、使用するフォークリフトの車種や作業内容、いざ事故等が生じた場合の対応などについて、十分検討しておかなければなりません。
先のページで述べたリスクに備えるために、以下のような対策をしておく必要があります。
公道を走るような場合は、当然自動車保険に加入しておくべきです。また、構内作業のみに限るような場合でも、自賠責保険への加入が強制されないとはいえ、加入することは是非検討しておくべきです。
この点、自賠責保険は強制されないため入らないが、任意保険はかけておくという方法を採ることもありますが、対人賠償等が無制限の任意保険であっても、 賠償無制限の適用がされるためには、自賠責保険に加入していることが条件であるという場合もあるため、実際に事故等が起きた場合に、会社に現実的な負担が生じないかどうかなどについて、確認をしておく必要があるでしょう。
フォークリフトによる事故が生じた場合の被害者は、従業員である場合が多いと思われ、労災保険の適用が可能な事例も多いです。
しかし、会社を訪問する顧客や、たまたま通りかかった第三者であっても、被害者になる可能性は否定できません。そのため、自社の業務内容や体制からみて、いざ事故が起こった場合に、労災保険や自賠責保険、任意保険等を利用して、責任を負担できるように検討しておく必要があるのです。
たとえわずかな距離、あるいは時間であるとしても、会社のコンプライアンスの見地からすれば、フォークリフトで公道を走る場合には、必ず登録の上、ナンバーを取得し、ナンバープレートを付けなければいけません。従業員にも、公道を走ることができるかどうかについて、教育しておく必要があります。
また、公道上における作業は禁止とすべきです。フォークリフトの場合、構内から配送の貨物車等に積み込む作業が予想されますが、フォークリフトを公道に出すのではなく、配送する車を構内や敷地内に入れて作業するような形を採るべきです。
どうしても公道に出て荷役作業をしなければならないような場合には、ナンバーを取得した上で、所轄の警察署長の許可を得ておくべきです。
フォークリフトの操作は、資格者、あるいは特別教育を受けた者に限定しなければならず、会社においても、そのような資格等をきちんと把握しておく必要があります。
また、操作をする者はもちろん、それ以外の従業員に対しても、フォークリフトの使用にあたっての各制限や危険等に関する教育をしておき、各法令を遵守させ、危険回避の方策が採られるようにしておくことも必要といえるでしょう。
(執筆 弁護士 清水伸賢)