4月の運転管理 …… 2014(平成26)年

子どもと高齢者の交通事故を防止しよう

 4月は春の全国交通安全運動が実施されます。新年度の交通安全計画を明らかにして、運転者指導をスタートさせましょう。

 

 また、5月20日前後には、自動車運転死傷行為処罰法が施行され、道路の逆行運転や特定の病気の症状による事故にも危険運転致死傷罪が適用されます。

 この機会に、運転責任の重大さを再教育してはいかがでしょうか。

4月の安全運転目標
○危険予測意識を高め
 て対歩行者・自転車
 事故を防止しよう 

4月の管理重点目標
○春の交通安全運動
○新入社員に対する
 安全指導の実施

4月の健康管理目標
○自己健康チェック
○居眠り運転防止の
 指導 


安全運転管理

■4月の安全運転目標

■危険予測意識を高めて歩行者事故などを防ごう

 新学期が始まり気候も温暖になりますので、新入学児童や高齢者の事故が心配な時期です。春の全国交通安全運動のテーマも「子どもと高齢者の交通事故防止」となっています。

 とくに歩行者の横断に注意するとともに、見えにくい場所からの自転車や歩行者の飛び出しなどに、警戒しましょう。

■見えない危険を意識する「メタ認知」能力

 が重要

 運転席から見える歩行者などには警戒しても、交差点の死角など見えない場所にいる歩行者や、自車が追い越してしまったために見えなくなった自転車などに対する危険を予測しない運転者がいます。

 こうした運転者は、自分が置かれている交通場面の危険を客観的に俯瞰してみる能力が弱いと言えます。

 

 実際には、前を見ているだけでは見えない場所から(たとえば後方から)現れる危険が最も事故に結びつきやすいのです。一段高い場所からこのように自分が置かれた状況を見る力を「メタ認知能力」と呼びます。

 運転者はメタ認知能力を高め、常に客観的な交通状況の危険を頭に描いて、見えない場所の危険を予測することが大切です。

■4月の管理重点目標

■春の全国交通安全運動の実施

 4月6日から10日間、春の全国交通安全運動が実施されます。「子どもと高齢者の交通事故防止」を基本テーマに、さまざまな事故防止活動が行われます。企業市民として、地域の安全活動に積極的に協力しましょう。

 

 また、この機会をとらえて、子どもの通学路や高齢者の多い生活道路を通勤マイカーが走行していないかなど、車の通行状況を調査してはいかがでしょうか。

 

 なお、シンク出版では、春の全国交通安全運動のオリジナルポスター(運転者向け)を作成しましたので、ご希望の方はダウンロードしてご活用ください。

 

 ダウンロードはこちら

■新入社員の安全運転指導を実施しよう

 最近、企業においては、新入社員の交通事故が多発傾向にあります。

 若者の「クルマ離れ」がすすみ、学生時代は車に乗らないペーパードライバーのまま入社して、業務に必要なため、慌てて運転の練習をする若者も少なくありません。

 基本的な運転スキルが欠けるために起こる操作ミス、駐車場内や出先構内でのバック事故、接触事故などが多発傾向にあります。

 

 管理者が若い頃の常識は通らないと覚悟して、同乗指導などを通じて運転時の死角など基本的なことも丁寧に指導しましょう。

 また、経験の浅いドライバーほど危険に対する感受性も低いので、新入社員にも危険予測訓練を実施しましょう。

■4月の健康管理目標

健康の自己チェック

 最近、ドライバーの体調不良が原因と思われる交通事故が増えています。

 3月3日に北陸自動車道で発生した「小矢部川サービスエリアでの高速バス衝突事故」も、死亡した運転者の睡眠時無呼吸症候群(SAS)による居眠りか、別の要因で意識を喪失して事故が発生したと疑われています。

 

 国土交通省はバス事業者などに対して「過労運転の防止」、「運転手の健康状態の把握」、さらに「SAS早期発見のため、検査を受診させる」ことなどを求める通達を出していますが、一般事業所のドライバーも他山の石として留意しておきましょう。

 とくに、肥満や生活習慣病・メタボリック症候群などが運転時の危険要因になると指摘されています。

 健康診断などで注意を受けている人は、日常的な生活習慣の改善を図るとともに、特に運転前に体調の自己チェックを怠らないでください。 

■居眠り運転防止には6時間以上の睡眠が大切です

 居眠り運転に陥る理由として、長時間休憩なしの無理な運行スケジュールや、SASなどの理由も考えられますが、国土交通省の調査では、一般に前夜の睡眠時間が6時間未満の場合に運転中の眠気を自覚する頻度が急に高くなることが指摘されています(※)。

 同省が過労・居眠り事故を分析した調査によると、

  • 「家族の介護のため前夜の睡眠が2時間程度だった」
  • 「乗務前の作業が忙しく、前日は約3時間しか睡眠時間が取れなかった」
  • 「夜間業務で昼間に睡眠をとる日が多く、ぐっすり眠れなかった」
  • 「車内で寝泊まりを繰り返していて、よく眠れなかった」
  • 「休日返上の連続業務で事故直前は4時間半の睡眠だった」

などの事例で、6時間未満の睡眠が居眠り運転の原因として強調されています。

 介護などで疲れている人は、なおさら運転前には6時間以上のしっかりした睡眠が必要なことがわかります。
 何かの都合で6時間以上眠れなかった人は、もし運転中に軽い眠気を感じた場合、休憩時に20分ぐらいの仮眠を試してみてください。


 大脳生理学の最近の研究では、昼間の15分~20分の仮眠で、かなり疲労回復効果があることがわかっています。ただし、30分を超える仮眠は本格的な睡眠を促し、「仮眠後に眠くなる」危険があります。1時間程度のコマ切れ仮眠を繰り返しながら運転するのはかえって危険です。


 30分未満の仮眠で眠気が取れない人は、運転をあきらめて、できれば6時間以上のきちんとした睡眠をとるべきです。

 

※「過労運転による事故を防止するための対策─中間整理(国土交通省自動車局/平成25年6月)」より 

■その他の管理項目

【自動車運送事業の運行管理者の皆さんへ】

自動車運送事業者に対する荷主の無理な要求

■再雇用運転者への教育・指導も重要

 今や60歳定年で仕事を離れる人は例外であり、再雇用で仕事を続ける方が少なくありません。バスやトラック、タクシーなど自動車運送事業のドライバーでも60歳以上のドライバーが増加傾向にあります。

 4月から再雇用したときなど、ベテランのドライバーだからと安心して安全教育をまったくしないまま現場に配属するケースがあります。

 

 しかし、ベテランとはいえ、事業者は新たに採用した運転者に対して職場できちんとした安全教育をする義務があります

 また、高齢者には次のような問題点があることを認識しておきましょう。

  •  65歳以上の場合は適齢診断(高齢運転者向け適性診断)の受診義務がある
  •  賃金が下がるため、腰掛け気分だったり緊張感が低下する人がいる
  •  視力、運動能力などに衰えが見られるのに自覚のない人がいる
  •  経験の有る先輩だと気を遣い、周囲が安全指導を遠慮しがちになる
自動車運送事業者に対する荷主の無理な要求

■荷主勧告制度の見直し──悪質な場合は即社名公表

 貨物自動車運送事業法の荷主勧告運用通達が改正され、4月1日から施行されます。

 これまでの荷主勧告制度は勧告実績がなく、実効性に乏しいという批判があったので、荷主勧告処分が強化されます。

 運送事業者への監査などで、荷主の過積載・過労運転への関与などが判明すれば、荷主は即勧告を受けると同時に荷主会社名も公表されます。

 

 運送事業者としても、改正の趣旨を踏まえて、荷主や元請会社の無理な要求に応じることなく、健全なパートナシップを構築するように努力しましょう。

■4月の管理ごよみ──2014年/平成26年──

日  付 行 事 等

1日()~

30日(水)

・未成年者飲酒防止強調月間(国税庁)──未成年者の飲酒防止を徹底するため、毎年4月にはポスターや各種媒体を通じて集中的に広報が行われます。飲酒運転に関連した資料も配布されます(詳しくは国税庁のwebサイトを参照)

1日(火)

 

「荷主勧告運用通達の改正」施行──貨物自動車運送事業への安全規制強化の一環。過積載や過労運転などへの関与が判明すれば、即、荷主勧告を経て社名も公表されます。詳しくは国土交通省のWEBサイトを参照してください。

6日(

~15日(火)

・春の全国交通安全運動─「子どもと高齢者の交通事故防止」

 (内閣府)

7日(月)

・世界保健デー──世界保健機関(WHO)の設立記念日。世界各国で健康的な生活について考えてもらうためのさまざまなイベントが開催されます。

労働基準法公布記念日──1947年(昭和22年)のこの日、労働基準法が公布されました。

8日(火)

・4月の製品安全点検日──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っています。

8日(火) ・タイヤの日─日本自動車タイヤ協会が制定。ドライバーにタイヤへの関心を高め、空気圧のチェックなどの啓蒙推進活動を行なっています(タイヤ協会のwebサイトを参照)。
10日(木)

交通事故死ゼロを目指す日内閣府

・法テラスの日日本司法支援センター

11日(金) 国際交通安全学会──研究調査報告会および学会賞贈呈式

14日(月)~

20日(

科学技術週間──毎年4月18日の「発明の日」を含む1週間は「科学技術週間」と定められています。

22日(火)

・穀雨──24節気の一つ。田畑の準備が整う頃、それに合わせて穀物の成長を助ける春雨の降る時期とされています。

28日(月)

・労働安全衛生世界デー、国際労働災害犠牲者追悼日──労災の犠牲者を追悼し再発防止を図る国際な記念日で、2002年には国際労働機関(ILO)が国連の国際デーの一つと認定しています。

28日(月)

・洗車の日──自動車用品小売業協会は4月28日を「洗車の日」に制定し、前後にイベント等で洗車を呼びかけています。

 4と28で「ヨイツヤ(良い艶)」と読む語呂合わせです。

29日(火)

・昭和の日

   

 4月中旬~

 下旬

自動車事故対策費補助事業の募集──(国土交通省
 4月中旬

・平成26年3月末までの交通事故発生状況発表(警察庁)

・平成26年度 全国安全週間のスローガン、実施要項発表

 (厚生労働省

 

 4月下旬

・第30回「安全衛生標語」の募集──標語の種類は、平成26年度年末年始無災害運動標語、平成27年年間標語──例年、締切りは4月30日(中央労働災害防止協会

・平成26年1月分 トラック輸送情報国土交通省


 

 ◆4月の日没時間(国立天文台天文情報センターによる)

1日(火) 福岡 18:39 大阪 18:19 東京 18:02
15日(火) 福岡 18:49 大阪 18:30 東京 18:14
30日(水) 福岡 19:00 大阪 18:42 東京 18:26

★「おもいやりライト=早めの点灯
  運動に取り組みましょう!
 4月は随分日が長くなったと感じますが、早めの点灯が何より大切です。「おもいやりライト」の精神で早めのライト点灯を習慣にしましょう。

 「おもいやりライト運動」は、夕暮れ時のヘッドライト早期点灯を ドライバーに呼びかけて交通事故を削減する運動です。横浜の運動事務局の呼びかけに呼応して全国で点灯活動が展開されています。


 ※詳しくはおもいやりライトのサイトを参照してください

 
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12月23日(月)

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