交通事故後のトラブルを防止し、被害を拡大しないためには、前ページの法令上の義務以外にも以下のような行為が必要です。
事故を起こした場合には、110番や119番以外にも、速やかに会社や保険会社に対して連絡すべきです。会社、あるいは保険会社からの指示等を受けず、独自に判断してしまった場合には、設問のように誤った対応により思わぬトラブルが生じることがあります。
上記の法令上の義務にかかわらず、相手が負傷している場合には、可能な限り応急処置をしなければなりません。こちらがけが等をしている場合もそうですが、相手方がけがをしている場合は、救急車を呼ぶなどして必ず病院での治療を受けさせるようにすべきです。
こうすることによって早期治療が受けられ、重症化を防ぐことができますし、また事故当時の客観的な負傷状況を明らかにしておくことにもなります。
また、人身はもちろん、物損事故であっても、運転者が認識している事故の状況や原因も、忘れないように写真を撮るなどして確認しておくべきです。
事故の状況にもよりますが、相手方の住所氏名、連絡先等は必ず把握しておくべきですし、目撃者や110番通報者等についても住所氏名、連絡先を聞いておくべきです。
また、交通事故が起きた場合には、警察官がその場の実況見分を行います。その際に作成される実況見分調書は、刑事事件としても、民事事件としても重要な証拠となりますので、現場の状況等を確認し、自分が認識していた事情や、自己の言い分はしっかりと記録してもらっておくべきです。
なお、事故で負傷等した被害者に対しては、できる限り誠意ある対応をしておくべきです。もちろん「誠意ある対応」というのは、事故直後の被害者に対する救急措置や、病院に付き添う等の行為、あるいは被害者が入院した際のお見舞いや謝罪等であり、被害者にいわれるがままお金を支払ったり、保険会社や第三者等を介さずに示談したりするような、自己の責任や過失割合、賠償額等を認めるという意味ではありません。
とくに会社の業務における事故では、運転者が個人的に示談等をすることは避けるべきです。また、お見舞いや謝罪に行く場合にも、勝手にいくわけではなく、会社や保険会社等と相談した上で、対応すべきです。