駐車車両が起因する交通事故の責任

■今回の相談

 弊社の従業員は、電化製品の修理を行なうために住宅街を車で訪問することが多いのですが、近くに駐車場のないようなところでは、家の前に駐車をして作業を行っていることもあるようです。
 先日、路上駐車が原因で発生した交通事故には、駐車車両にも責任が発生するということを耳にしました。会社として駐車の管理を怠るとどのような責任が問われ、またどういった対策を打っておくべきでしょうか?

■回答(清水伸賢弁護士──WILL法律事務所)

◆駐車車両を原因とする事故

 単純に駐車車両に他の自動車が追突したような場合、その責任は原則としては追突した側にあるとされます。そもそも自動車等を運転する運転者には、前方注意義務をはじめとする注意義務があるため、駐車車両があったとしても、運転者自身が前方注意義務等を守っていれば事故が防げたと認められる事例が多く、事故が起きた場合に、駐車車両をした者等に責任が生じる事例はそれほど多くはないといえます。


 しかし、事故が起きた状況や駐車の態様、あるいは複数の自動車等が関係する事故の原因が駐車車両であった場合など、事情によっては駐車をした者等に一定の責任が認められることがあります。このような場合には、自分が駐車した車両に生じた損害の賠償の一部が受けられなかったり、相手や第三者に生じた損害の責任の一部を負担しなければならなかったりすることがあります。


 また、その事故の内容によっては、業務上過失致死傷罪が成立することもありますので、注意が必要です。

◆駐車車両の責任が認められる事情

1・責任を認めた例

駐車車両に過失が認められた例
駐車車両に過失が認められた例

 どのような場合に駐車車両の責任が認められるかという点については、法律等で明確に基準等が定まっているわけではありませんが、裁判例には、駐車車両の責任を認めたものがあります。

 具体的には、夜間に道路上に駐車していたトラックにバイクが追突した事故で、トラックに65%の過失割合が認められ、刑事責任まで認められた事例や、交差点で歩行者とバイクが衝突し、転倒したバイクが滑走して駐車車両に衝突し、バイクの運転者が死亡した事故で、駐車車両に30%の過失割合が認められた事例、駐車車両が交差点の見通しを妨げたために、交差点内で出会い頭の衝突が発生した事故で、駐車車両に20%の過失割合が認められた事例などです。

 追突などにより駐車車両自体にも損害が生じているような事例だけではなく、駐車車両自体には何らの損害もないが、他人の事故の原因となったような場合にも、同事故の責任の一部が認められているため、さらに注意が必要になります。

2・責任が認められる要素

 これらの裁判例においては、責任の有無や過失の割合について、各事故における諸事情を総合的に考慮して判断されています。

 

 どのような事情を考慮するかという点については、一般的に明確な基準が確立しているとまではいえないと考えられ、私見になりますが、大きく分けて「A-駐車場所や周囲の状況」、及び「B-駐車態様」という事情が重要な要素とされ、駐車自体の危険性の程度が判断されて責任が認められていると思われます。

今日の安全スローガン
今日の朝礼話題

11月25日(月)

サイト内検索
運行管理者 安全運転管理者 出版物 教材

──新商品を中心に紹介しています



──ハラスメント、ビジネスマナー教育用DVDを好評発売中です

運行管理者 指導監督 12項目 トラック 貨物運送事業所
交通安全 事故防止に役立つリンク集
安全運転管理.COM 交通安全 事故防止 安全運転管理 運行管理 教育資料 ドライバー教育 運転管理

当WEBサイトのコンテンツの利用、転載、引用については「当サイトのご利用について」をご覧ください。

弊社WEBサイト、出版物においては「普通自転車」を「自転車」と表記しております。

詳しくはこちらをご参照ください。