平成25年6月14日に公布された改正道路交通法の一部が施行され、統合失調症やてんかん、麻薬中毒など「一定の病気等」にかかっている運転者を対象とした新しい制度がスタートします(平成26年6月1日施行)。
■免許取得時・更新時などにおける質問制度
都道府県公安委員会は、運転免許取得や免許更新のために申請する人に対して、免許の拒否又は保留の基準となる「一定の病気の症状等」(※下を参照)があるかを判断するために質問票で質問をすることができます。
また、免許保有者に対して、免許の停止・取消の対象となる病気に該当するかどうかを調査する必要があると認めるときは「一定の病気の症状等」に関する報告を求めることができます(質問票・報告書の形式は道路交通法施行令で規定)。
病気の症状があるにも関わらず、公安委員会に虚偽の回答をして免許を取得または更新した者には、罰則が科せられます。
■診断した医師による任意届出制度
「一定の病気」 等にかかっている運転者を診断した医師は、 その診断結果を都道府県公安委員会に任意で届け出ることができるようになります。
■免許の暫定的な停止制度
交通事故を起こした運転者が一定の病気等に該当すると疑われる場合は、専門医の診断による取消処分を待たずに、3か月を超えない範囲で免許の停止措置もできるようになります。
■免許再取得時の技能・学科試験の免除制度
「一定の病気」等の症状を理由に免許を取り消された運転者が、症状が改善するなどして取消し後3年以内に免許を再取得する場合は、技能試験と学科試験が免除されます(ただし、アルコール・麻薬等の中毒者には適用されません)。
改正前は、違反行為により免許取消しの基準に達していたにも関わらず、取消処分の書面の交付を受けないまま免許を失効させて取消処分を免れた者は、取消処分者講習を受講しなくても免許試験を受けることができるという問題点がありました。
改正後は、免許を失効させて取消処分を免れた者も、再度運転免許を取得する場合には、過去1年以内に取消処分者講習を受講しておく必要があります。
■「一定の病気等」とは──免許の取消し、拒否、保留等事由となるもの
(道路交通法第90条第1項第1号~2号、道路交通法施行令第33条の2の3)
※「一定の病気」とは上記の1~8をさし、これに9を加えたものを「一定の病気等」と総称しています。
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疾病起因事故への罰則も強化されています。
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