■運転者の体調急変による事故が多発!
最近、運転者の体調急変や持病の発作などを原因とした重大事故が多発しています。
さる3月3日には、北陸自動車道小矢部川SAで高速夜行バスのドライバーが意識を喪失して駐車車両へ衝突し、乗客・乗員2人が死亡する事故が発生しています。
また4月20日には、名神高速道路で観光バスが中央分離帯を打ち破って逆走する事故が発生し11人が負傷しています。このバスのドライバーはインフルエンザで高熱があるにも関わらず市販薬を服用して運転を続け、もうろうとした状態に陥っていました。
■脳・心疾患の予兆をチェック
国土交通省では、こうした事故の多発を受けて2014年4月、バス・トラック事業者向けの「運転者の健康管理マニュアル」を改訂し事業者に通達しました。
乗務前点呼の徹底を呼びかけるとともに、とくに重大事故に結びつきやすい脳・心疾患の予兆症状を把握するために、乗務前の7項目チェックとしてドライバー健康把握リストを示しています。
また、急を要する症状ではなくても、発熱や腹痛、眠気を催す薬の服用など平常時とは異なる健康状態のドライバーに対しても乗務中止を検討するよう指導しました。
さらに、次のような対策についても強調しています。
一般の事業所でもこれらのリストを参考にして、健康に不安のあるドライバーの体調急変による交通事故を防止しましょう。
【脳・心臓疾患の予兆を確認するチェックリスト──7項目】
Check |
乗務前の点呼で確認する「脳・心臓疾患」の前兆や自覚症状 |
□ | 左胸、左肩から背中にかけて、痛みや圧迫感、締め付け感がないか |
□ | 息切れ、呼吸がしにくくないか |
□ | 脈が飛ぶ、胸部の不快感、動悸、めまいなどがないか |
□ | 片方の手足、顔半分の麻痺、しびれを感じないか |
□ | 言語の障害が生じていないか |
□ |
片方の目が見えない、物が二つに見える、視野の半分が欠けるなどの 知覚の障害が生じていないか |
□ | 突然の強い頭痛がしないか |
【日常との比較など総合的に乗務可否を判断するチェックリスト】
Check | 平時での状態と比較して |
□ | 熱はないか |
□ | 疲れを感じないか |
□ | 気分が悪くないか |
□ | 腹痛、吐き気、下痢などないか |
□ | 眠気を感じないか |
□ |
怪我などで痛みを我慢していないか |
□ | 運転上悪影響を及ぼす薬を服用していないか |
※乗務前点呼にかかわらず、運転者自身が常に確認しておくことが望ましい。
国土交通省:「事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル」の概要(平成26年4月改訂)より
国土交通省:運転者の体調急変に伴うバス事故防止のための対策より 抜粋
国土交通省:自動車運送事業用自動車事故統計年報(平成24年)より 作図
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各事例の右ページでは、垰田和史 滋賀医科大学准教授(医学博士)の監修のもと、日々気をつけなければならない健康管理のポイントをわかりやすく解説しています。
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