坪井課長補佐に続いて、藤原係長が「岡山県の交通事故の現状と県警独自の対策」として、平成26年度から実施している「事故NO-SOプロジェクト2014」について説明を行いました。
「これまでの対策はどちらかと言うと、死亡事故など重大な交通事故が発生した後に現場点検を行ってハード面の対策をしたり、同種の事故をなくすために交通指導取締りを強化するなど、事後的対策が主流でした。しかし、こうした事後的対策では事故件数の下げ止まり傾向がみられたことから、過去の交通事故統計を精査して増加している交通事故の種類や時期、場所などを特定し、適切な時期に先行的な対策を実施するようにしました。
たとえば、交差点事故の死者数は国道・県道の死者数は約20%減少しているが、市町村道は約43%も増加しており、しかも5、6、7月がピークを迎えていることから、3、4月から市町村道の交差点での監視活動や違反取締りを強化しました。
さまざまなこうした先行的対策を実施した結果、8月7日現在の交通事故死者数は対前年対比2割以上減少するなど、効果が出ています」
最後の話題提供者として、毎年「交通大学」を開催しているマイクロメイト岡山㈱の木村会長と事務局の三宅さんが、これまで開催してきた「交通大学」の内容などについて説明を行いました。
「交通大学を始めたきっかけは、やはり金光先生との出会いが大きかったように思います。平成7年に第1回目を開催して以来、先生のコーディネートのもとで昨年まで17年間開催してきました。
交通事故防止は、事故が起きた後に行う事後対策だけではなく、事故が起こる前の予防対策が必要だと考えています。
その信念のもとに、最新の研究や現場で活躍している人の声を交通安全指導に反映させる、事故の被害者の声を直接聞いて事故抑止に活かす、心理面だけでなく医学的な知識を身につけて指導に活かす、ことを念頭にいろいろな方に講師をお願いしてきました。今年も11月17日(月)に第18回目を開催する予定です」
続いて、同社がバックアップして平成12年から岡山市立岡輝中学校で毎年実施している交通安全体験フェスタ「みどりの林檎」の概要と、8年間継続して実施している「飲酒実験」について説明を行いました。
最後に、追手門学院大学の東教授が、「シニアリーダー制度のように、高齢者が高齢者を教え合うという教育スタイルは世界的にも新しい潮流になっており、高齢者同士が同じ目線に立って伝えますので、納得されやすい面があります。
また、シミュレーターなどを使った実技体験教育というのは、受講する人にも記憶に残りやすいという利点もあり、こうした教育が行われていることに対して非常に感銘を受けました」とコメントしました。
その後、発表された話題提供に関する追加質問など活発な議論が行われ、岡山県での地域交流会は成功裡に終わりました。
地域交流会のなかで、これまでシニアリーダーとして活躍されてきた2名の方が、実際に高齢者の自転車講習を実施してきた経験のなかから感想などを述べられました。
【長森さん】
『最初は、自分が出来るんだろうかと不安な気持ちでしたが、2回、3回と続けて行くうちに会場の雰囲気もわかってきて、受講者の反応もよくだんだんと楽しくなってきました。今ではシニアリーダーになったことは、自分の宝だと思っています』
【吉森さん】
『高齢者が自転車のルールを学ぶ機会が持てたことは非常に意義がありました。高齢者向けの自転車教室を実施していると学校などからも声がかかり、中学校などでも実施してきました。ただ、シミュレーターの設置など準備に時間がかかって大変な面があります。受講者のなかから協力者を見つけて手伝ってもらうことも大事だと思います』
【平成26年度交通科学研究会地域交流会(岡山市)データ】
〈日時〉
平成26年8月8日(金)
〈場所〉
岡山県立図書館
〈主催〉
一般社団法人交通科学研究会(会長 蓮花一己<帝塚山大学>)
〈司会進行〉
大阪国際大学人間科学部 山口直範