平成26年8月8日、一般社団法人交通科学研究会(会長・蓮花一己帝塚山大学教授)は、毎年各地で開催している地域交流会を岡山県で開催しました。
昨年は香川県で実施されましたが、今年度は「岡山県の交通事情とその対策について」をテーマとし、岡山県で実施されている交通対策や実践事例を幅広く紹介し、参加者を交えた活発な議論を展開しました。
蓮花会長の開会の挨拶に続き、まず最初の話題提供者として川崎医療福祉大学の金光義弘教授が、平成25年度から警察庁がすすめている「高齢者の交通安全教育のためのシニアリーダー育成モデル事業」について、岡山県が自転車利用者に対する交通安全教育のリーダー育成のモデル県に選定されたことから、その目的と概要を説明しました。
「このモデル事業は、自転車シミュレーターを使ってシニアリーダーの高齢者が他の高齢者に交通安全教育を行うもので、このシステムが定着すれば、警察官がいなくても高齢者に対する交通安全教育を実施できるのみならず、高齢者同士のネットワークを利用することで、老人会等の組織に属さず交通安全教育を受ける機会のない高齢者にも教育が実施できる画期的なものと考えています。受講者のなかから新たなシニアリーダーを育成することも可能です」
モデル事業の流れは以下のとおりです。
次に、岡山県警交通企画課の坪井課長補佐が、「岡山県におけるシニアリーダー育成モデル事業のその後」として、平成26年度から実施している「シニア自転車リーダー事業」について説明を行いました。
「岡山県では、高齢自転車乗用者の交通事故を防止するために、平成20年から県独自の施策として「高齢者自転車リーダー事業」を実施してきましたが、昨年警察庁のモデル事業として「シニアリーダー育成モデル事業」を実施したことから、両方の利点を組み合わせた事業として26年度から新たに「シニア自転車リーダー事業」を立ち上げました。
「リーダー候補の選定」から「育成研修会の実施」、「交通安全教育の実施」の流れは、ほぼ前年度のモデル事業を踏襲していますが、リーダーの育成については「シニアリーダー育成モデル事業」では3警察署のみで限定的に実施していたものを、「シニア自転車リーダー事業」では全県下に広めて全警察署(22警察署)で実施する予定です。
今年の6月中旬から7月初旬にかけて、県下11警察署において「育成研修会」を実施しており、警察署ごとに3~5人認定して、全部で97人のリーダーを育成する予定です。
この事業は、地域に根ざした参加しやすい交通安全講習を開催することができますので、高齢者の自転車事故を確実に防止できるものと期待しています」