事故多発地点である交差点における事故防止について、今まで紹介してこなかった事例やデータを解説しています。
■右方向の安全確認だけでは危険
狭路から交通量の多い道路に交差点を左折して進入しようとするとき、ともすれば右側からやってくる車を確認するだけで左折しようとすることがあります。
左からくる車がある場合でも、運転者が「対向車線を直進してくる車に危険はない」と思い込んでいるからですが、ここに落とし穴があります。
以下のような事故事例(※)がありますので、参考にしてください。
■左方向から来たトラックが急に進路変更!
下の図は、交差点を左折して進入しようとしたA車が、交差道路の左側車線を直進してきたB車の進路変更に気づくのが遅れて衝突した事例を示しています。
A車の運転者は交差点で停止し(図①)、「右方向から来る車がなかった」ので左折を開始したところ(図②)、B車の進路上には別のトラック(C車)が駐車していましたので、B車は進路変更して通行しようと考えハンドルを右に切った結果、A車はB車と衝突してしまいました(図③)。
この事故は、A車が交差点で一時停止し左右確認した時点で、本来なら「C車が駐車しているのでB車は進路を変える」ということを予測できたにもかかわらず、判断を誤って左折したため事故に至ってしまった事例です。
このケースでは、B車が優先道路を走行しているので、
A車の過失:B車の過失=90:10
と、A車の過失が非常に大きくなります。
T字交差点で狭い道から出るときには、対向車線の車であってもその進行を妨げないという意識で、左右の安全確認を慎重に行うことが大切です。
※資料出処:交通事故予防センター会報「イエローゲート」№13(図も同誌より引用)
■クルマの姿がなくても自転車に要注意
優先道路に右左折して出るときは、道路の脇を走ってくる自転車の存在にも注意しましょう。
右からくる自転車は、道路の路肩ギリギリを走行してきても、右方の車を確認するとき視界に入る可能性があります。
むしろ、左からくる自転車(右側通行だったり、歩道を走行してくるケース)の発見もれが多いのです。
(図④参照)
この場合の過失割合も、車側過失:自転車側過失=90:10 が基本です。
優先道路を走行する自転車に右側通行などの過失があると、車:自転車= 85:15 と修正されますが(見通しのよい交差点では修正されない)、反対に自転車が交差点内で自転車横断帯などを横断していた場合は、車の過失が加算され 95:5 となります。
このほか、自転車側の過失割合が加算されるのは、自転車の二人乗りや無灯火、飲酒運転など著しい過失がある場合に限られます。
交差点でハンドルを切るとき、ブレーキから足を離しアクセルを踏み込む前に、もう一度ハンドルを切っていく方向を確認する習慣をつけてください。
(注:事故の過失割合についてはすべて「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」別冊:判例タイ
ムス38号/平成26年刊 を参照しました)
交差点とその付近は、全事故の5割以上を占める事故多発地点です。
「交差点事故の危険度をチェックしよう」(一般車編とトラック編がございます)は交差点を「左折」、「右折」、「直進」するときの運転ぶりをチェックし、それぞれの危険度を理解することができる参加型教材です。