多くの企業では、交通事故の発生を防止するために、いろいろな対策をとろうとしていると思います。
しかし、ここで難しいのが、どのような対策を選択すれば自社の実態にあった効果的なものになるかということです。
有効な対策を立てるためには、実は自社の交通事故の実態を客観的に分析することが大切です。ところが、これがなかなか難しいのではないでしょうか?
実際のところ、交通事故の原因や傾向、違反との関連性など実態の把握が定かで無いまま、単に「交差点事故を防ぎましょう」とか「バック事故撲滅」といったお題目で終始している場合が少なくないと思われます。
交通事故の実態をつかむためには、自社の事故のデータの蓄積が必要です。
事故対策を考える上で、過去の事故歴などを検索して、原因分析を行うことが不可欠となるからです。
そこで、データを集めるときは、以下のポイントが重要となってきます。
「運転者の年齢」──年齢別に、事故の傾向を比較検討、分析するため
「運転者の性別」──性別に 〃
「運転経験」──経験年数別に 〃
「発生時間帯」──発生時間別に 〃
「発生場所」──発生場所の特徴別に 〃
「事故直前の状況」──運転場面の特徴別に 〃
「事故の形態」──事故の形態別に 〃
「事故の直接原因」──事故の直接原因別に 〃
「事故の心理的要因」──運転者の心理的要因別に 〃
「運転者の勤務部署」──部署別に 〃
「過去の事故実態」──過去の事故から傾向を分析するため
「過去の違反実態」──交通事故と違反の関係を分析するため(運転記録証明が必要)
このように様々な角度から事故データをみることによって交通事故実態を客観的に評価することができるようになります。
また、全体の傾向だけでなく、個人別データにより違反・事故多発者の発見や適性に応じた指導も可能になります。
たとえば、こうしたデータの分析から、バック事故や追突事故が多発していたある事業所で、個々の事故形態は違うものの、その多くが「携帯電話の使用によるわき見運転から発生している」ということがわかった例があります。
違反内容の分析から携帯電話違反も増加していて、その実態を裏付けていました。
しかし、事業所の事故データを管理者自身が蓄積して分析することは、実際には大変な作業だと思います。
企業ドライバーの交通事故防止対策に力を入れている香里自動車教習所では、交通事故データを簡単に入力して、分析できる「交通事故分析ツール」(エクセル仕様ソフト)を開発し、無償提供してます。
こうしたソフトを活用してみることにより、効果的に事故防止対策が検討できるではないかと思います。
同教習所では企業における交通事故防止活動を専門にサポートする「安全運転管理支援チーム」を設置して、実技指導や事故防止計画の提案などを行っていますが、インターネットのWEBサイトでも、さまざまな事故防止情報を提供しています。
その一環として、「交通事故分析ツール」も無償でダウンロードができますので、興味のある方は、こちらのWEBサイトを参照してください。
■交通事故の詳細分析内容例(クリックすると拡大します)
──事故形態別・場所別発生状況
──部署別事故発生状況
──年代別・発生状況
──交通事故に伴う費用発生状況